「愛なき真理は冷酷であり、真理なき愛は偽善である」、最近読んだ神学者ウォーレン・ワーズビーの言葉です。真理と愛の調和こそ、最後の神の民として私たちの行くべき道なのだと思います。サタンの最大の敵となる最終時代の神の民について、使徒ヨハネは黙示録にその特徴をこう記しています。
「竜は女に対して激しく怒り、その子孫の残りの者たち、すなわち、神の掟を守り、イエスの証しを守りとおしている者たちと戦おうとして出て行った」(黙示録12章17節 ©️日本聖書協会)。最後の神の民は「神の掟を守り」「イエスの証しを守りとおしている者」です。
神の掟を守るとはどういうことでしょうか。それは神の十戒を守ることでしょうか。特に第四戒を遵守することでしょうか。もちろんそれは大切です。しかし、ヨハネはその手紙にこう書くのです。
「神に願うことは何でもかなえられます。わたしたちが神の掟を守り、御心に適うことを行っているからです。その掟とは、神の子イエス・キリストの名を信じ、この方がわたしたちに命じられたように、互いに愛し合うことです。神の掟を守る人は、神の内にいつもとどまり、神もその人の内にとどまってくださいます。神がわたしたちの内にとどまってくださることは、神が与えてくださった〝霊”によって分かります」(ヨハネの手紙一・3章22~24節 ©️日本聖書協会)。
神の掟とは、イエス・キリストの名を信じ、その命令に従って互いに愛し合うこと、その神の掟に生きる者はいつも神の内にとどまり、神も彼らの内にとどまってくださるとヨハネは説きます。キリスト信仰と相互の愛が神の民の、特に最後の神の民の特徴なのです。
一方、イエスの証とは何でしょうか。ヨハネは同じ手紙にこう書いています。「神の子を信じる人は、自分の内にこの証しがあり、神を信じない人は、神が御子についてなさった証しを信じていないため、神を偽り者にしてしまっています。その証しとは、神が永遠の命をわたしたちに与えられたこと、そして、この命が御子の内にあるということです。御子と結ばれている人にはこの命があり、神の子と結ばれていない人にはこの命がありません」(ヨハネの手紙一・5章10~12節 ©️日本聖書協会)。
神が御子イエスについてなさった証は、神は御子イエスを通してのみ永遠の命を私たち人間に与えられるという絶対的な福音の証です。永遠の命はイエス・キリストの内以外にないのです。ですから、このお方に信仰をもって、決して行いをもってではありません、信仰をもって結ばれるしか永遠の命への道はないのです。
最後の時代の神の民は、三天使のメッセージと呼ばれる永遠の福音を全世界に向かって語ります。このメッセージの中心は神の愛でありイエス・キリストです。私たちの救いのために愛をもってキリストを与えてくださった創造主なる神を畏れをもって礼拝し、自分の功績に頼るバビロンを脱し、ただ救い主であるキリストに全的に信頼し、完全に神のものとなることこそ永遠の命への唯一の道なのです。これこそ伝えるべき永遠の真理です。
この真理を愛をもって宣べ伝える最後の神の民として、信仰と愛をもって神の内にとどまり、命なるキリストに結ばれ続けることを切に祈り求めたいと思います。
アドベンチスト・ライフ
2020年7月号
教団総理 島田真澄