セブンスデー・アドベンチスト教会

私たちの敵、味方とは?

私たちの敵、味方とは?

新型コロナウイルスの感染拡大による世界中の混乱が始まってから、3年以上が経ちました。この疫病の影響は、感染した方々の健康への影響以上のものを、私たちの社会に与えています。特にコロナ初期の頃は県外ナンバーへの攻撃、自粛警察による不当な圧力がありました。現在でも、ワクチンに関する意見の対立などがあります。また教会においても、集会をどのように続けるかについて、時に激しい議論がなされたのではないかと思います。

私はこれらの混乱を見て、新型コロナウイルスそれ自体よりも、新型コロナウイルスへの恐怖から来るパニックの方が脅威であると感じました。恐れの感情は、私たちから冷静さを奪い去り、本当の敵がどこにいて、頼りになる味方がどこにいるのかを分からなくさせてしまう力があります。実際にサタンは人を恐れさせることによって、各時代において大成功を収めてきました。

そこで今回は、恐れに支配されず、この大争闘という戦いで勝利を収めるために、次の2つのことをお勧めしたいと思います。①敵を正しく認識すること。②味方を正しく認識すること。

敵を正しく認識すること

パウロは、困難な状況の中で闘っているクリスチャンたちに、次のような言葉を語っています。「それでは、これらの事について、なんと言おうか。もし、神がわたしたちの味方であるなら、だれがわたしたちに敵し得ようか。……『わたしたちはあなたのために終日、死に定められており、ほふられる羊のように見られている』と書いてあるとおりである。しかし、わたしたちを愛して下さったかたによって、わたしたちは、これらすべての事において勝ち得て余りがある」(ローマ人への手紙83137節、口語訳)。

私たちの敵とは、一体だれでしょうか。新型コロナウイルスについて、「見えない敵との戦い」と言われることがあります。しかし聖書は新型コロナウイルスが流行る何千年も前から、目に見えない敵との戦いについて、警鐘を鳴らしています。「見えないサタンという敵がいるぞ。実はあなたは感染しているぞ。知らない間にその影響を振りまいているぞ。知らない間に支配されているぞ。見えない敵に気づけ」と。

しかし、世の多くの人々は、「サタンとか悪魔って、神話でしょ? 宗教家のイメージの中で作られたんでしょ? 漫画のキャラクターでしょ?」と、相手にしないことがほとんどです。しかし聖書は、「違う、実在している。このサタンはあなたから喜びを奪い、希望を失望に変え、あなたを滅びへと導こうと狡猾に狙っているのだよ」と教えています。サタンは悪賢いので、自分の身を隠し、恐ろしくもないものをことさらに恐ろしく見せ、私たちが不安と恐れに支配され、神に信頼することができないようにしようとしています。

私たちの日常生活の中には、私たちを恐怖に陥れるものがあるでしょう。経済的な問題、人間関係、健康の問題、孤独、疫病、戦争……。私たちはこのような問題が生じる時に、覚えておくべきことがあります。私たちの本当の敵は、自分が直面している問題そのものではなく、それらを通して私たちを惑わそうとしているサタンなのだということです。ここに、クリスチャンの戦いの本質があります。

味方を正しく認識すること

私たちは、自分を覆いつくすような恐怖と闘う時、パウロがそうであったように、私たちの味方のことを思い出したいと思います。私たちの味方とは、どなたでしょうか。先ほどの御言葉の中で宣言されていた通り、神が私たちの味方です。これは決して気休めではありません。サタンを含め、この世の誰よりも力のある神が、私たちの味方であると約束してくださっているのです。

私はこの約束に目を留めるたびに、思い出す出来事があります。昨年度まで、私は光風台三育小学校のチャプレンの務めをさせていただいていました。光風台三育小学校ではサッカークラブがあり、月に2回程度、日曜日にサッカーをする機会がありました。前半は基礎練習、後半はミニゲームです。

ミニゲームをする際に、サッカー経験者のコーチがどのチームに入るかは子どもたちの関心事です。そしてやはり、サッカー経験者のコーチがいるチームの方がたくさんゴールを決めるのです。

このままでは負けているチームがかわいそうですので、ミニゲームの途中でそのコーチが劣勢のチームに移ります。すると、どうでしょう。さっきまで一方的に押されていたチームが一気に優勢になっていくのです。ただし、そのコーチが大活躍をしているというわけではありません。強力な味方がこちら側についたということで勇気を得て、子どもたちが本来持っている力を発揮していくのです。

聖書の別の箇所では、このような神からの語りかけがあります。「これらのことをあなたがたに話したのは、わたしにあって平安を得るためである。あなたがたは、この世ではなやみがある。しかし、勇気を出しなさい。わたしはすでに世に勝っている」

キリストは、サタンよりも遥かに力のある方です。そして実際に、十字架の上で完全な愛を示すという方法で、すでにサタンに勝利してくださっています。問題は、私たち人間の側が、聖書のこれらの約束を信じ、勇気をもって神の側に立ち続けることができるか、ということです。

私たちが住むこの世界は、これからますます混乱していくことでしょう。私たちから勇気を奪い去るようなことも起きていくかもしれません。しかし、私たちを勝ち得て余りがあるほどの大勝利に導こうとしてられる神様に信頼して、この時代をご一緒に戦い抜いていきたいと思います。皆様お一人お一人に、主の平安が豊かにありますように。

*聖句は©️日本聖書協会

東清志/あずまきよし

1987年に広島県に生まれる。広島三育学院高等学校の職員を経て、牧師となる。現在天沼教会、所沢教会の牧師と三育学院大学東京校舎のチャプレン補佐を担当。

アドベンチスト・ライフ2022年7月号