第1課 パウロとエフェソの信徒 7月1日
暗唱聖句:秘められた計画をわたしたちに知らせてくださいました。これは、前もってキリストにおいてお決めになった神の御心によるものです。こうして、時が満ちるに及んで、救いの業が完成され、あらゆるものが、頭であるキリストのもとに一つにまとめられます。天にあるものも地にあるものもキリストのもとに一つにまとめられるのです。エフェソ 1:9、10
今週の聖句:使徒言行録 18:18~21、使徒言行録 19:13~20:1、使徒言行録 20:17~38、 エフェ 1:1、2、エフェ 6:21~24、エフェ 3:13、エフェ 1:9、10
今週の研究:パウロには、この手紙を書く動機となった大きな目的がありました。パウロが投獄されたり(エフェ 3:13、6:20)、迫害や誘惑が続いたりしたために、エフェソの信徒は失望の危機にさらされていました。パウロは、彼らが回心し、キリストを救い主として受け入れ、教会の一員となったとき、何が起きたかを彼らに思い起こさせます。彼らはキリストの体(同1:19~23、4:1~16)、神殿の部材(同2:19~22)、キリストの花嫁(同5:21~33)、そしてよく整えられた軍隊(同6:10~20)になりました。彼らはキリストにあってすべてのものを一つにするという神の壮大な計画を、実現するための戦略的な役割を担いました(同1:9、10)。パウロは、エフェソの信徒がキリストに従う者としてのアイデンティティーと特権に目覚めるようにこの手紙を書いたのです。
日曜日:エフェソは、人口約25万人を有するローマ帝国最大の都市の一つであり、 今日小アジアとして知られる地域のほとんどを含む、同帝国の最も豊かな州の一つであるアジア州の州都でした。パウロの時代、この州は発展と繁栄の時にあり、港湾都市であるエフェソは、重要な陸路の要衝でもありました。この都市の人々は、多くの神々を拝んでいましたが、その中でもアルテミスをこの都市の守護神として最高位の神とみなしていました。アルテミスへの礼拝は、市民による祭儀、運動競技、祭礼の中心でした(使徒19:24、35参照)。
パウロはその後、第三次伝道旅行でエフェソに戻り(使徒19:1~12)、「三年間」(同20:31)滞在します。使徒パウロは、エフェソにかなりの時間を費やし、キリスト教をしっかりと確立しようとしたのです。
月曜日:パウロのエフェソに関する働きの年表を下記にまとめます。
*紀元52年:エフェソへの最初の短期訪問(使徒18:18~21)。
*紀元53~56年:エフェソでの3年間の宣教(同19:1~20:1)。この滞在の終わり近くにコリントの信徒への手紙一を書く(1コリ16:5~9)。
*紀元57年:ミレトスに滞在中、エフェソの長老たちと会う(使徒20:17~ 38)。
*紀元62年:おそらくローマで監禁中に、エフェソの信徒への手紙を書く。
水曜日:エフェソの人々は、パウロが獄中から書いた他の手紙、コロサイの信徒への手紙(特にコロ4:7、8参照)やフィレモンへの手紙と同じ時期、同じ状況にあったようです。また、パウロがエフェソで宣教してからかなりの時間が経過しており(エフェ 1:15、3:1、2)、パウロはおそらく紀元62年頃にローマの獄中で エフェソの信徒への手紙を書いたと思われます。
エフェソの信徒への手紙の中で、パウロはエフェソの聴衆の状況についてほとんど具体的なことは述べていません。彼の関心は広範囲に及びます。「天地創造の前に」(エフェ 1:4)なされた神の決断から始まる広大な時の長さを扱い、キリストにある神の救いという壮大なテーマを深く思索しています。この手紙には、長い文章、反復表現、発展した比喩など、高度で文学的な文体が用いられています。パウロはこのような文体を別の場所(ロマ8:31~39)でも用いていますが、エフェソの信徒への手紙に多く見られ、賛美、祈り、礼拝に関する言葉を多く含むことをその特徴とし(エフェ 1:3~14、1:15~23、3:14~21)、注意深く作られた高度な修辞技法が展開されています(同4:1~16、5:21~33、 6:10~20)。
木曜日:エフェソの信徒への手紙のメッセージは、どのように要約されるでしょうか。 パウロは獄中から、キリストを中心とする時が満ちるに及んで完成する神の計画と、その中での教会の役割についてのビジョンを語ります。神は、「あらゆるものが、頭であるキリストのもとに一つにまとめられ……天にあるものも地にあるものもキリストのもとに一つにまとめられる」(エフェ 1:10)計画を開始するためにキリストにあって行動され、ユダヤ人と異邦人の双方を1人の新しい人に造り上げ、一つの体(同2:14)として教会を創設されました。信徒たちは、この神の計画に調和して行動し、神の最終目的が進行中であることを悪の力に知らしめるよう召されています(同3:10)。
今年も後半に入り、第三期の学びが始まります。今期は昨年の第四期に続いて14回安息日がありますね。そして今期はエフェソの信徒への手紙を学びます。この手紙は全部で6章です。そんなに長くないので、今期の学びを始める前に、ご一読ください。
そして今週はエフェソの手紙について、エフェソの街について、その特徴などを学びます。この書簡の背景については、日曜、月曜、水曜日の引用文をお読みください。パウロの働きは、多くの街をまわって教会を作ったことでした。新しい伝道地へ着くと、まずはユダヤ人の会堂へ行って、旧約聖書に約束された救い主が十字架に架かったイエスであることを伝えました。しかし彼は短い期間で教会を組織しては、新しい伝道地へ移動して行きました。その中で、コリントとエペソだけは長期間滞在して伝道しました。今後、小アジア地方の中心の教会として育てようと考えていたのでしょうか。
本文の金曜日の学びで、エフェソで改心した人たちが魔術の本などを焼き捨て、その金額が銀5万にとかかれています。(使徒19:19参照)度量衡が出てきたら、できるだけ今のお金に換算してみましょう。本文では現在の価値で6億円くらいになるだろうと書かれています。彼らは悔い改めてキリストに従って行きました。
けれどもサタンはパウロが離れた後に、徐々に働きを開始して行きました。その誘惑と戦っているエフェソの教会に向けて書かれたのが、今期学ぶエフェソの信徒への手紙です。これは今日も同じように、最終時代に一人でも多く誘惑しようとして働くサタンと戦っているわたしたちにとっても大切な学びではないでしょうか。今期もきっとたくさんの新しい出会いがあると信じています。