安息日学校部

20210407安河内アキラ解説

2021年第4期「申命記に見る現代の心理」

PDFダウンロード

第7    律法と恵み      11月13日

 

暗唱聖句
「わたしは、神の恵みを無にはしません。もし、人が律法のお陰で義とされるとすれば、それこそ、キリストの死は無意味になってしまいます」

ガラテヤ 2:21

                                           

今週の聖句
エゼキエル 28:15、16、申命記 4:44、ローマ 3:20、申命記 10:1~15、 申命記 5:6~22、申命記 9:1~6

                                           

今週の研究   申命記は、恵みと律法についての一つの大きな実物教訓であると考えられます。神は恵みのゆえに私たちを贖うという、私たち自身ではできないこと(イスラエルがエジプトから脱出した以上のこと)をしてくださいます。その応答として私たちは、神と神の律法に従う人生を信仰によって生きるのです。

こうして神の恵みは、私たちが神の律法に従えるようにし、神とのこの契約関係から服従が生まれるのです。

                                           

日曜日:神は愛の神です。愛は神のご品性の原則であり、神の支配の基礎です。神は、その愛に応えて私たちが神を愛することを望んでおられるので、私たちを道徳的自由、すなわち愛に基づく自由を持つ存在としてお造りになりました。 そして、この道徳的自由という思想の中心に位置するのが道徳律です。素粒子、海の波、カンガルーなどは、ある程度自然界の法則に従っていますが、道徳律には従いませんし、それを必要ともしません。道徳的存在だけが道徳律を必要とします。ですから天においても、神は天使たちのための道徳律を持っておられるのです。

                                           

火曜日:私たちは13節のみ言葉を忘れることができません。「あなたが幸いを得る」ために、主の戒めと掟を守りなさいというのです。言い換えれば、神は彼らの最高の利益のために、掟に従うように命じておられるのです。神が彼らを造り、彼らを支え、彼らにとって何が最善であるかを知っておられます。だからこそ、神は彼らにとっての最善をお求めになるのです。神の律法と十戒に服従することは、彼らの利益になるのです。

律法はしばしば垣根や防御壁にたとえられます。神に従う者たちは、その壁の内側にいることによって、彼らを襲い、滅ぼそうとする多くの悪から守られるのです。つまり、神はその民に対する愛のゆえに、彼らに律法をお与えになり、神の律法への服従は、「あなたの幸い」のためであるということです。

                                           

木曜日:福音についてのパウロの教えは、おそらく申命記9:5の次の部分に凝縮されるでしょう。神は、「あなたが正しく、心がまっすぐであるから、〔救われる〕のではなく」、「永遠の福音」(黙14:6)の約束のゆえに、あなたを救われるのです。この約束は、「わたしたちの行いによるのではなく、御自身の計画と恵みによる」のであり、「永遠の昔にキリスト・イエスにおいてわたしたちのために与えられ」たのです(2テモ1:9、テト1:2も参照)。もしこの約束が「永遠の昔に」私たちに与えられたとすれば、私たちは「永遠の昔に」は存在しなかったわけですから、それは間違いなく私たちの行いにはよらないはずです。

                                           

申命記は律法の書ですが、その根底には神さまの恵みがあることを今週学びます。今週の研究にも引用しましたが、彼らがカナンの地までたどり着けたのは、出エジプトがあり、そして砂漠の中の40年間の歩みにおいて必要なものがすべて与えられたからなのです。そのために彼らは代価を払っているわけではありません。すべて神さまが与えてくださっているのです。

これは今日のわたしたちも同じではないでしょうか。いのちが与えられ、空気や水など生きるために必要な物が備えられているのです。わたしたちが存在していることだけを見ても、神さまのめぐみなのです。それだけでなく、天国へ入れていただけるという福音もあるのです。

律法とめぐみの関係でまちがってはいけないのは、律法が来る順番です。律法が先に来て、律法を守ること、それにできるだけ近づけることで天国への道を開こうとしても無理なのです。律法を守る動機は、神さまを愛して、そしてみこころに沿った歩みをするためです。ヨハネ14章には「私を愛するならば、わたしのいましめを守るべきである」とくりかえし書かれています。(ヨハネ14:15,21,23)ヨハネ14章は「天国には住まいがたくさんある」、そして「わたしたちを孤児としない、そのために聖霊を送ってくださる」と約束されています。聖霊の役割は「イエスさまが話したことを思い起こさせる」とあり、これはまさにわたしたちにいましめを思い出させ、そして正しい道へ進むように導かれるのです。律法だけを見ると、倫理観の高さからとても守れないと考えてしまいますが、すばらしい恵みを信じることができたら、律法のすばらしさも理解できるのではないでしょうか。