百聞は一見にしかずと言いますが、目で見ることには力があります。90年代、東アジア・グローバル・ミッション・センターで所長を務めたクリフトン・メーバリーは、宣教師としてタイで奉仕していました。彼はある時、人々が絵を通して物語を伝えることに、関心があることに気づきました。
クリフトン・メーバリー (グローバル・ミッション・センター元所長)
ムン・ランシー牧師と、ある村に行った時、彼が私に「仏陀(ブッダ)の最期の絵を見たことがありますか」と聞きました。私が「ない」と答えると、彼は「どこの寺院にもあるのです」と言うのです。彼は地元の寺の住職のところへ行き、「この外国人に仏陀の最期の絵を見せてくれませんか」と頼みました。その住職は、大きな巻き絵を持ってくると、その場で広げてくれました。その長さは50メートル。一番興味深かったのは、その絵が広げられると、私を見に来たはずの子どもたちが、友だちを呼びに出て行って、お互いにその絵について語り合ったことです。
クリフトンは、福音をタイの人々に伝える良い方法をずっと考えていました。
クリフトン・メーバリー (グローバル・ミッション・センター元所長)
寺院で物語を伝える主な手段が、絵画であることは知っていました。絵が崇拝され、祈りを捧げられることはありません。偶像崇拝の危険はなく、単に物語を伝える方法が、絵画なのです。
クリフトンはイエス様の物語を伝える絵画の作成を依頼するため、美術大学を訪れました。すると教授の一人が、自分の師匠に相談するよう勧めました。
クリフトン・メーバリー (グローバル・ミッション・センター元所長)
私は絵画の教員大学に行き、彼を見つけると、今までこの国に伝えられたことのない物語をタイ伝統の絵画を通して伝えたいこと、また、その方が他の国の絵画より、タイの人々の心に響き、物語が語られるきっかけになると思っていることを伝えました。
タイの伝統絵画の巨匠が、この依頼を引き受け、二人は数週間にわたり、どの物語をどう伝えるか話し合いました。まずキリストの再臨のシーンから描き始められました。その光景は、タイの寺院でよく見られるランナー様式では、これまで描かれたことがありませんでした。
クリフトン・メーバリー (グローバル・ミッション・センター元所長)
最初の絵は、彼の家のリビングで、10ヶ月という長い月日をかけて描かれました。その間、リビングには、本がうずたかく積まれていました。証の書(ふみ)や図書館から借りてきた本などの山です。私は、「彼のように、自分は福音を伝えるために力を注いでいるだろうか」と思いました。
絵は、何カ月もかけて、ようやく完成し、文化豊かで、歴史あるチェンマイの中心部にある、チェンマイ・アドベンチスト教会に設置されました。
クリフトン・メーバリー (グローバル・ミッション・センター元所長)〉
これが彼の最初に描いたキリストの再臨の絵です。私たちはこれまでキリストの再臨をさまざまな方法で描いてきましたが、黙示録の再臨の光景には、白馬に乗った騎手とそれに従う天の軍勢の描写があります。彼は、文字通り、白馬に乗った騎手の到来を描いたのです。
この絵には、すべてのことが描かれています。争い、暗闇の中で死にかけている人々の救い、昇天、背後には荒涼とした世界が残されています。
チェンマイの人々はこの絵に深い関心を持ち、アドベンチスト教会に絵を見に来るようになりました。
クリフトン・メーバリー (グローバル・ミッション・センター元所長)
毎日人々が絵を見に来ました。小学校、中等学校、大学、教員大学の教師たちは、絵を見るために校外学習を計画しました。絵の評判を聞いて、授業の一環としてやってきたのです。僧侶たちもやって、「絵があると聞きました。教会を開けてもらえませんか?」と尋ねるほどでした。
どの人からも否定的な反応はありませんでした。彼らは皆、最初から最後まで快く話を聞いてくれました。道行く人に、「世界の終わりについてアドベンチストが信じていることを教えましょう」と言っても誰も聞いてくれないでしょう。しかし、絵があれば、彼らは素直に耳を傾け、多くの質問をしてくれるのです。絵を見ることで、彼らの好奇心の扉が開いたのです。
福音を絵に描くことで、クリフトンとタイ人の画家は、他の方法では開かれることのなかったであろう扉を開きました。二人は、絵がなければ、ほとんどの人が耳を傾けることのなかったかもしれない希望のメッセージを目にする機会を人々に提供したのです。
それから35年以上たった今、これらの絵はアジア太平洋国際大学の図書館に設置されています。多くの学生が仏教徒であるこの大学では、空調管理によってこれらの絵を後世に残すことができます。
タイの人々、また大多数がクリスチャンではない「10(テン)/40(フォーティ)ウィンドウ」の地域の人々のためにお祈りください。価値観が異なっても、このような創造的な方法によって、つながる機会は生まれるのです。
あなたの地域ではどうでしょう? アドベンチストのメッセージを伝えるよい方法はありますか?
2024年3期アドベンチスト・ミッション
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