第5課 民族(その2)池増 信男
1.安息日午後
[暗唱聖句]
力を捨てよ、知れ/わたしは神。国々にあがめられ、この地であがめられる。(詩編46:11、新共同訳)
今週のSSガイドでは神さまが人間を治めるのではなく、人間が人間を治めることを強く願うことによって引き起こされた問題について、ダニエル書と黙示録から学ぶことになっています。人間が人間を治めることは、最終的にはどのような結果を引き起こしてきたのでしょうか。そのことを頭に入れて学んでまいりましょう。
2.日曜日:最初の戒め
「善悪の知識の木を食べてはならない」という最初の戒めは、アダムとエバに「選ぶ」という自由を与えられただけでなく、この世界には「善なる知識」と「悪なる知識」があるということを示しています。
・「善なる知識」は天地万物の創造主を神様と認め、その神様に心から従うことであり、
・「悪なる知識」は人が神様になって、心のままに生きることと言えます。そして人が心のままに生きようとすると、苦しみと悲しみを負いながら生きていかなければならなくなります。
ダニエル書にも書かれていることがわかります。
3.月曜日:ダニエル書2章
ネブカドネツァル王に示された夢の内容は、自分の治世(ネブカドネツァル王がいた時代)からイエス様の再臨までにどのような世界帝国が起こっては消えていくのかというものでした。興味深い点は世界帝国が4つの金属と粘土で造られた像(頭は純金、胸と両腕は銀、腹と腿が青銅、すねは鉄、足は鉄と粘土)であったという点ではないでしょうか。金、銀、青銅、鉄、粘土は建築の材料等に用いられます。しかし粘土を除いては暖かみがなく冷たい材質です。また像ですので、動きません。命がなく、生きていないからです。神様が金属を用いられて示されたということは、人間が治める国は暖かみがなく、冷たく、そして命がないと示していると思われます。ちなみにそれぞれの世界帝国の王や、皇帝は自分のために権力を用いて、国民のために国を治めるという※道徳性が低くなっていったと思われます。
※道徳性:人間として生きるために、善悪を理解して正しい行動をする人格や能力
4.火曜日:ダニエル書7章
7章も2章と同じようにこの地上に起こる世界帝国を表していますが、活発に動く4種類の獣、すなわち獅子、熊、豹、そして歯は鉄、爪は青銅であって食らいかつ噛み砕いてその残りを足で踏みつける恐ろしい獣で表されています。
これらの4種類の獣が表す世界帝国はバビロニア、ペルシャ、ギリシャ、そしてローマ帝国です。
これらの世界帝国によって、周辺の国家は滅ぼされ、それらの国民は奴隷として苦しむことになります。当然ながら神の選民であったイスラエルの人々や、ローマ帝国時代にはクリスチャンも迫害を受け、信仰の故に殺されました。人間の治める国においては、誰が指導者になるかによって、国民の生活は大きく左右されてきたことは歴史が物語っています。神さまが治められる国が到来する(来る)まで、私たちはこの地において真の平和を味わう(知る)ことはないのです。
5.水曜日:陸地と海の間
今日、明日と黙示録から学びます。特に黙示録12、13章に出てくる「水」、「海」、「陸地」、そして「獣」という象徴的な言葉に目を向けます。私たちは「海」を人々が多くいる地域で旧大陸のヨーロッパ、「陸地」を人々がいない地域で新大陸と教えられてきました。「水」についてはあまり注目しなかったと思います。
しかし、ガイドを書かれた先生は二人の聖書学者による解説から
・「『陸地』は、神の統治の上に築かれた安定した場所を、
・『海』、『水』は、人間の傲慢の上に築かれた国々の不安定な混乱をあらわしています。」と書いておられます。このような見方もあるんですね。
ところで、私たちは
・「海」の中からの獣は教皇制ローマ、
・「陸地」の中からの獣はアメリカ合衆国という解釈をしています。
・アメリカは信教の自由を重んじる国として誕生したので「小羊」にたとえられましたが、そのアメリカが獣に変わってしまいます。
やがて海からの獣(教皇制ローマ)と陸からの獣(アメリカ合衆国)が一つとなり、獣の像を拝むように地上の人々に命令する時が来ます。
その時、私たちは
・獣の像を礼拝するのか、
・天地万物を創造された神様を礼拝するのか、
どちらかを選ぶことになるのです。
6.木曜日:再び預言しなさい
黙示録12:14〜17は終末時代の「残りの民」の出現とその場所を、「一年、その後二年、またその後半年」(14節)のあと、「荒れ野(大地)」(14、16節)と示しています。
具体的には
1798年以降、そして新教の自由を重んじるアメリカから現れます。
1798年以降世界的に再臨運動がヨーロッパや北アメリカで起こり、ウイリアム・ミラーによる再臨運動もその一つです。ミラーは聖書研究から「二千三百の夕と朝の間である。そして聖所は清められて正しい状態に復する」(ダニエル8:14)との預言が1843〜1844年の間にキリストが再臨されることだと解釈し、その事を語り出し、北米における再臨運動の先駆者(最初に始めた人たち)となりました。最終的には数万人の人々が信じて主の来臨を待ちましたが、主はおいでにならず大失望を味わいました。
けれども、その人々の中からさらなる聖書研究を続け、一つの結論へと至ったグループがありました。それがアドベンチストの先駆者(最初に始めた人たち)です。彼らの結論は「イエス様が天の聖所から至聖所へ移られ、大祭司の働きを開始された。」というものでした。このメッセージを今一度全世界に宣べ伝える使命が、神様によって自分達に与えられたという自覚を「わたしは、その小さな巻物を天使の手から受け取って、食べてしまった。それは、口には蜜のように甘かったが、食べると、わたしの腹は苦くなった。すると、わたしにこう語りかける声が聞こえた。『あなたは、多くの民族、国民、言葉の違う民、また、王たちについて、再び預言しなければならない。』」(黙示録10:10、11)という聖句から持つことができました。今日アドベンチスト教会が全世界で伝道活動を続けているのは、ダニエル書や黙示録の研究によって私達に与えられた使命を知ることができたからなのです。
7.金曜日:さらなる研究
イエス様の再臨によって始まる新天新地では「海もなくなった」(黙示録21:1)とあります。
不安とか混乱はありません。神様が治められる国であるからです。その国は私たちを救うためにイエス様が傷を受けられたという犠牲的な「愛」の上に成り立っています。神の国に入った私たちは、永遠にキリストによる贖いを学ぶことになっています。
質問
1.現在私たちは人間が人間を治める国に住んでおりますが、国を治める人々のためにクリスチャンとして何ができるでしょうか。
2.私たちは神に従うことと、日本の法律に従うこととの間のバランスをどのようにとったら良いでしょうか。国の法律に従うことと神に従うことが一致しない時にはどうしたら良いと思いますか。