安息日学校部

第12課 聴覚しょうがい者用:眞田 治

2020年第1期「ダニエル書」(主イエス・キリストの愛と品性の啓示) 

PDFダウンロードルビ付きの原稿はPDFからご覧ください

第12課  北と南から「麗しの地」へ  眞田 治

 

1.安息日午後

今週は、ダニエル書11章から学びます。

ダニエル書11章で気をつけなければならない言葉が3つあります。「北の王」と「南の王」と「麗しの地」です。ダニエル書11章の中で、北の王と南の王とは争ってばかりいます。しかも、ダニエル書11章の最後の45節では、困ったことに、神さまがいらっしゃる麗しの地の近くで争うのです。しかし、45節の後半には、北の王による争いが終わることも書いてあります(45節の「ついに彼の終わりの時が来る」の「彼」というのは、北の王のこと)。

神さまがいらっしゃる麗しの地の近くでの争いが終わるとうことは、神さまが勝利なさるという意味です。神さまは必ず最後には勝利なさいますから、私たちは安心して聖書を読むことができます。

 

2.日曜日:ペルシアとギリシアに関する預言

ダニエル書11章には、たくさんの国や王たちの歴史が書いてあります。大切なことは、国や王たちの歴史を神さまが導いておられ、将来のことを前もってダニエルに書かせたということです。歴史を導く神さまは、私たちひとりひとりの人生をも導いてくださっています。

ペルシアの国で一番有名な王は、キュロス王です。キュロス王の後から、ペルシアでは、3人が次々と王になりました。カンビュセス王、偽スメルディス王、ダレイオス王一世の3人です。その3人の後、3人よりも強いクセルクセスが王になりました。カンビュセス・偽スメルディス・ダレイオス一世、そしてクセルクセスの4人が王になる前から、ダニエル書11章2節には、4人のことが預言されていました。「ペルシアに三人の王が立つ」とか、「第四の王はだれにもまさって富み栄え」とか、ダニエル書11章2節には書いてあるのです。クセルクセス王がギリシア国に挑戦して戦いを挑むことも、11章2節には書いてあります。

次のダニエル書11章3節に書いてある「勇壮な王」は、ギリシアのアレクサンダー大王のことです。11章4節に書いてある「この王国は砕かれて、天の四方向に分割される」というのは、アレクサンダー大王の死後、4人の将軍がギリシア国を分割して支配するということです。4人の将軍というのはセレウコスとプトレマイオスとリュシマコスとカッサンドロスのことです。

知らない名前が、たくさんありますね。でも、皆さん、安心してください。たくさんの王さまや将軍の名前を、覚えなくても大丈夫ですよ。私も覚えていません。大切なことは、2つだけです。

1つめは、王たちや将軍たちが本当に登場する前に、ダニエル書11章をダニエルが書いたということ。2つめは、国や王たちや将軍たちの歴史を神さまが導いておられ、将来のことを前もってダニエルに書かせたということ。書いてあるとおりに、本当に実現したのです。歴史を導く神さまは、私たちひとりひとりの人生をも導いてくださっています。

 

3.月曜日:シリアとエジプトの預言

ダニエル書11章5~14節で、北の王はシリアの将軍セレウコスで、南の王はエジプトの将軍プトレマイオスです。将軍だったセレウコスが王になり、将軍だったプトレマイオスも王になり、争ったのです。

預言者ダニエルがダニエル書を書いたずっと後の国や王たちの将来まで、神さまは知っておられました。王さまだけではなく、私たちひとりひとりの将来をも、神さまは知っておられ、導いてくださっています。

「わたしは、あなたたちのために立てた計画をよく心に留めている、と主は言われる。それは平和の計画であって、災いの計画ではない。将来と希望を与えるものである」(エレミヤ書29章11節)。

 

4.火曜日:ローマと契約の君

ダニエル書11章16節には、「敵は意のままに行動し、対抗する者はない。あの『麗しの地』に彼は支配を確立し、一切をその手に収める」と書いてあります。「麗しの地」とは、神さまがいらっしゃる場所のことですね。ダニエルが生きていた時代、神さまがいらっしゃる場所として一番有名なのはエルサレムでした。エルサレムをペルシアが支配した後はギリシアが支配し、エルサレムをギリシアが支配した後にはローマ帝国が支配しました。ダニエル書11章15節には「北の王は進軍し」と書いてありますが、11章15節の「北の王」とはローマ帝国のことです。その次の16節の「あの『麗しの地』に彼は支配を確立し」の「彼」もローマ帝国のことです。ダニエル書11章16節には、ローマ帝国がエルサレムを支配することが書いてあるのです。

ダニエル書11章20節には「税を取る者を巡回させる」と書いてあります。「税を取る者」というのは、新約聖書ルカ福音書2章1節で本当に実現しました。「そのころ、皇帝アウグストゥスから全領土の住民に、登録をせよとの勅令が出た」とルカ福音書2章1節に書いてあるのです。勅令というのは命令のことで、皇帝が税金を集めるためには住民が役所に登録しなければならないので、皇帝は「税を取る者を巡回」させて、住民に登録させたのです。登録するためには本籍地の故郷に帰らなければなりません。本籍地の故郷に帰った人々の中に、マリアとヨセフも含まれていました。ヨセフの故郷はベツレヘムでした。ルカ福音書2章4、5節には、「ヨセフもダビデの家に属し、その血筋であったので、ガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。身ごもっていた、いいなずけのマリアと一緒に登録するためである」と書いてあります。ヨセフとマリアって、知ってますか? そうです、イエスさまのお父さんとお母さんですね。マリアが身ごもっていたというのは、お腹の中にイエスさまがいたということです。本当にイエスさまがお生まれになる何百年も前に、ダニエル書11章20節に、イエスさまがお生まれになることが書いてあるんです。

お生まれになったことだけではありません。イエスさまの十字架のことも、本当に十字架にかかられる何百年も前にダニエルが書いています。ダニエル書11章22節の「契約の君も破られる」という言葉が、イエスさまが十字架にかかられたことです。契約というのは約束と同じ意味ですが、神さまは約束どおり救い主イエスさまを人間のところに来させてくださり、イエスさまは私たち人間の身代りとして約束どおりに十字架で死んでくださいました。私たち人間の罪の重さによってイエスさまの心臓が破れてしまうことを、「契約の君も破られる」という言葉で、十字架の死が本当に実現する何百年も前に、神さまはダニエルを導いてダニエル書11章22節に書かせたのです。

イエスさまがお生まれになったことも、イエスさまが死なれたことも、本当に実現する何百年も前からダニエル書に書いてあります。歴史を導く神さまは、私たちひとりひとりの人生をも導いてくださっています。

 

5.水曜日:次の勢力

ダニエル書11章28~39節には、「北の王」とのことが書いてあります。しかしダニエル書11章28~39節には、「南の王」のことは書いてありません。昨日の火曜日はイエスさまが十字架で死なれたことを学びましたので、今日の水曜日は、十字架の後のことを学びます。月曜日の学びでの「北の王」はイエスさまがお生まれになる前のことで、火曜日の学びでの「北の王」はイエスさまがお生まれになった当時のことでしたが、水曜日の今日はイエスさまが死なれた後の「北の王」についての学びです。ダニエル書11章に書いてある「北の王」というのは1人の王さまのことではなく、神の働きを邪魔する支配者たちのことです。イエスさまがお生まれになる前もお生まれになった当時も、そしてイエスさまが死なれた後も、神さまの働きを邪魔する支配者たちがいたのです。

ダニエル書11章29節には、「時が来て」とか「定まった時になって」とかと書いてあります。ダニエル書11章29節の「時」に、北の王が「聖なる契約に対し、怒りを燃やして行動」したり「聖所を汚し、日ごとの供え物を廃止」したりするとダニエル書11章30、31節には書いてあります。聖なる契約とか聖所とかいうのは宗教に関係することですので、イエスさまが死なれた後、北の王は、宗教を使って神さまの働きを邪魔します。イエスさまが死なれた後、宗教を使って神の働きを邪魔した支配者たちというのは、ローマ教皇のことです。ローマ教皇は、「いよいよ驕り高ぶって、どのような神よりも自分を高い者と考える」(ダニエル書11章36節)ので、人々が神さまを信じるのを邪魔し、人々が神さまではなくローマ教皇を信じるようになってしまうのです。

私たちは、本物の神さまを信じなければなりません。本物の神さまを信じない宗教は、私たちを救うことができません。本物の神さまを信じて本当に救われたいと、私たちは願っています。

 

6.木曜日:終末の諸事件

ダニエル書11章41節と45節に、「麗しの地」という言葉が書いてあります。麗しの地とは、神さまがいらっしゃる場所です。預言者ダニエルがダニエル書を書いた当時、神さまがいらっしゃる場所の中心はエルサレムでした。ダニエルがダニエル書を書いた何百年も後、イエスさまが死なれたのもエルサレムでした。イエスさまが死なれた後、イエスさまの弟子たちも最初エルサレムを中心に伝道しました。しかし現代、現代の弟子である私たちクリスチャンは、いろいろな場所で伝道します。神さまの福音が伝道される場所が、神さまがいらっしゃる場所です。現代の麗しの地は、神さまの福音が伝道される場所のことです。

ダニエル書11章41節には、「あの『麗しの地』もこうして侵略され」と書いてあります。「北の王」が「麗しの地」を侵略するのです。「北の王」は神さまの働きを邪魔する支配者のことでしたから、「『麗しの地』もこうして侵略される」というのは、神さまの福音を伝道する働きが邪魔されるということです。伝道を邪魔されることは、残念なことですね。悲しいことです。しかし、11章45節(ダニエル書11章の最後の節)には、「ついに彼の終わりの時が来る」と書いてあります。45節の「彼」は、「北の王」のことです。神さまの働きを邪魔する支配者に、最後には終わりが来ます。邪魔する支配者が終わるのだから、神さまの福音を伝道する働きが勝利します。最後は必ず神さまが勝利なさいます。神さまの働きをしている私たちクリスチャンも最後は神さまと一緒に必ず勝利できると、神さまは約束してくださっています。

 

7.金曜日:さらなる研究

今週の学びで一番大切なことは、神さまが約束を守られることです。旧約聖書のダニエル書に書いてある約束を、神さまはずっと守ってくださいました。約束どおりイエスさまがお生まれになり、約束どおりイエスさまが私たちの身代りに死んでくださって私たちを救ってくださいました。だから今から後も、神さまは私たちひとりひとりの人生を導き、勝利させてくださいます。

神さまと一緒に勝利できる祈りを紹介します。北の王よりも南の王よりも、もっと強い本物の王さまが天にいらっしゃいます。本物の王さまを信じて祈るのです。

「天の神さま。

お祈りすることを教えてくださって、ありがとうございます。

神さまは天にいらっしゃって、私が祈るのを見ていてくださいます。神さまは、私が祈るのを聞いていてくださいます。

神さまは、本物の王さまです。北の王よりも南の王よりも、もっと強い本物の王さまです。神さまの働きを邪魔する支配者よりも、神さまのほうが強いのです。本物の力強い王さまは、神さまだけです。

天の神さま。いつも邪魔する支配者に、終わりを来させてください。もう2度と邪魔されることがないように、私を守ってください。神さまの王さまとしての本物の力を示してください。神さまが勝利されるとき、私も一緒に勝利することができます。『わたしたちすべてのために、その御子をさえ惜しまず死に渡された方は、御子と一緒にすべてのものをわたしたちに賜らないはずがありましょうか』と書いてあるからです。『わたしの名によって願うことは、何でもかなえてあげよう』と、イエスさまが約束してくださったからです。イエスさまの約束は、本当に実現します。

『王の王、主の主』、イエス・キリストさまの御名によって、お祈りします。アーメン」

(ローマ書8章32節、ヨハネ福音書14章13節、黙示録19章16節)