安息日学校部

第9課 聴覚しょうがい者用 佐藤由歩

2022年第1期「終わりの時代に生きる」

PDFダウンロード ルビ付きはこちらからご覧ください

第9課  完全な犠牲イエス 佐藤由歩

 

1.安息日午後

十字架はもともと処刑道具であり、敗北や恥の象徴として古代の人々から嫌われていました。そのような道具がなぜ、キリスト教を象徴するものとなったのでしょうか。それはイエス様が全人類の罪をゆるすために、十字架で自らを献げられたからです。

ヨハネの手紙第一2章2節に、「彼(イエス)は、わたしたちの罪のための、あがないの供え物である。ただ、わたしたちの罪のためばかりではなく、全世界の罪のためである。」(口語訳)とあるように、イエス様ご自身の犠牲によって十字架は私たち人間の救いであり、勝利となったのです。

今週、私たちはヘブル人への手紙に見られる十字架について学びます。

 

2.日曜日:なぜ犠牲が必要だったのか

ヘブル人への手紙9章15節を読んでみましょう。イエス様が十字架で死なれた目的は、私たちの全ての罪をゆるし、イエス様を救い主と信じる全ての人たちを天国へと招くためです。

エジプトの奴隷であったイスラエルの民は、モーセにより荒野を通って約束の地であるカナンへと導かれましたが、イスラエルの民は父なる神様により与えられた契約を守ることができませんでした。ですから、イエス様は自らを犠牲として十字架に献げることによって契約を守られたのです。ここに、人類に対するイエス様の愛が示されています。

 

3.月曜日:犠牲のさまざまな形

聖所におけるイスラエルの犠牲制度には5つの異なる種類の犠牲がありました。「焼き尽くす献げ物」、「穀物の献げ物」、「和解の献げ物」、「贖罪の献げ物」、「賠償の献げ物」です。これらは、単にイエス様が私たちの犠牲となられたことを受け入れる以上の意味を持っています。それは私たちが日々イエス様から受けている恵みを積極的に他者と分かち合い、また私たちが過ちを犯した人々に対してしっかりとお詫びをすることです。そして共に、「信仰によって、キリストがあなたがたの心のうちに住み、あなたがたが愛に根ざし愛を基として生活すること」(エペソ人への手紙3章17節)を目指していくことが大切です。

 

4.火曜日:イエスの完全な犠牲

レビ人の祭司たちは毎日、そして年ごとに聖所で供え物やいけにえを献げましたが、この世の誰もが人類を完全に救うことはできませんでした。人間はみんな罪人だからです。へブル人への手紙10章10節を読んでみましょう。「・・・ただ一度イエス・キリストのからだがささげられたことによって、わたしたちはきよめられたのである。」とは、イエス様こそ私たちのための完全な犠牲であること、そしてそのような救い主であるイエス様に優る供え物は他にないことを意味しています。ですから、私たちはそのような変わらないイエス様を目指して歩むことができるのです。

 

5.水曜日:十字架と赦しの対価

聖所におけるイスラエルの犠牲制度には2つの段階があります。日々、悔い改めた人が聖所に犠牲となる動物を持ってくると、祭司によってその動物は悔い改めた人の罪を背負い、身代わりとして殺されました。こうしてその人は罪から清められますが、その罪は一年間の間は聖所に残ることになります。ですから年一回、大祭司と呼ばれる人が聖所を清めるための働きをしますが、これはイエス様が全ての罪を背負う働きを象徴しています。ヘブライ語において「赦す」という動詞には「運ぶ、負う」という意味があるように、イエス様は今も私たち一人一人の罪を取り除き、そして清めてくださっているのです。

 

6.木曜日:裁きと神の御品性

私たちは、イエス様だけが私たちの罪を背負って十字架で死なれた唯一の救い主であると信じることによってゆるされ、救われます。一般的に「神の裁き」と聞いて良い印象を持つ人は多くありません。しかし、裁きの本当の目的は私たちの罪をゆるされたイエス様の愛と正しさをこの世にはっきりと示すことなのです。私たちは、一度も罪を犯さなかった完全なイエス様がご自身を犠牲として献げられた十字架による救いを信じること以外に、自分を清めることも救うこともできません。ですから、裁きの時に私たちの罪や過ちを告発するサタンに対して、イエス様だけが私たちのために力ある弁明をしてくださるのです。

 

7.金曜日:さらなる研究

ジリ・モスカラ教授の再臨前審判の性質についての解説を読んでみましょう。イエス様は私たちの罪を一つ残らずご存じですが、それを私たちに突き詰めることを喜ばれません。代わりにイエス様は、十字架を通して私たちに変わらない愛を示されました。その愛による犠牲が自分の罪のためであったことを自覚する時に、私たちの生き方が変わります。その生き方を通してイエス様のご品性が表されることに感謝しましょう。

 

 〈質問〉

「ヘブライ人への手紙に描かれたイエスのみ姿を読者が捉えて離さないのは、イエスが何をされたかということだけでなく、イエスがどのような方であるかを語って」(ガイド1ページ)います。

今週の学びを振り返り、今日のあなたにとってイエス様とはどのような方かを考えてみましょう。

また、あなたにとって十字架は何ですか?(処刑道具、罪、死、勝利、希望、救いなど)