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第8課 休む自由 西村 翔
1.安息日午後
イエスの物語で出てくる人々の多くは、病人でした。病人たちは、癒やしと苦しみからの休みを求めて、イエスのもとにやって来ました。その中には、深刻な病気を抱えていた人や、既に死んでいた人もいましたが、イエスによって完全に癒やされました。
今週は、聖書に出てくる二人の病人に注目します。病気の症状は全く異なりますが、二人とも「神の時に、神の方法で」癒やされていきました。現代も様々な病気があり、それに伴う疑問はつきません。病気に対する神の対処法について、聖書から考えてみたいと思います。
2.日曜日:癒やしという休み
深刻な病気を抱えると、とても不安になります。「なぜこんなことになってしまったのか。」マルコ2:1〜12に登場する中風の男がそうでした。各時代の希望によると、病気の原因は男の罪の生活にありました。病気にかかったのは、自分の罪の結果だったのです。
一方、それは私たちが抱える全ての病気において言えることではありません。現に、正しい生活を送っていたのに、病気にかかる人も沢山います。生まれつきの病気を抱えている人もいます。そのような人にとって、「なぜ」という問いは何も答えをくれないことでしょう。私たちは、「なぜ病気にかかったか」以上に、「誰が病気を癒やし、休みを与えてくださるか」ということに目を向けていく必要があります。
3.月曜日:根源から癒やす
中風の男を苦しめていたのは、病気の症状よりも、心の中にある罪悪感でした。だからこそ、イエスは病気を癒すよりも前に、男の心を癒やすことを望まれました。「子よ、あなたの罪は赦される」(マルコ2:5)という言葉によって、男の心は癒やされました。病気はまだ癒やされていませんでしたが、男は休みを得たのです。
時に、病気の癒やしについては待つ必要がありますが、心の癒やし(罪からの癒やし)は、すぐに与えられるものです。神は、私たちが神によって愛されていて、赦されていることを知って欲しいと願っています。たとえ病気を抱えたままでも、神に愛されている安心感のうちに休むことができます。
4.火曜日:逃げ出すこと
たとえ立派なクリスチャンであっても、うつ病にかかることがあります。エリヤは、勇敢でいつも神に忠実な人物でした。しかし、バアルの預言者との激しい闘いのすえ、エリヤは疲れ切ってしまいます。そして、自分の置かれた状況に耐えられなくなり、逃げ出していきます。
置かれた状況から逃げ出すことはできましたが、エリヤは心を休めることができませんでした。むしろ、症状は悪くなっていきました。結局、逃げることは何も解決を生み出さないのです。
5.水曜日:逃げるのに疲れて
エリヤは、与えられた仕事を放棄し、逃げ出してしまったことに罪悪感を抱きました。そして、罪悪感から逃れたいがあまり「命を取ってください」と神に願いました。
失敗や挫折は、私たちに「本当の私」の姿を教えます。本当の自分の姿を見るのは、とてもつらいことです。自信を失ったり、みっともない自分のことが嫌いになったりします。そんな自分に耐えられなくなり、「いなくなりたい」「消えてしまいたい」と思う人は少なくありません。エリヤがまさにそうでした。
神は、弱気なエリヤのことを責めることはなさいませんでした。神は私たちの最大の理解者であり、今日も私たちのことを愛してくださっています。
「この身も心も尽き果てるでしょう。しかし 神は私の心の岩 とこしえに 私が受ける割り当ての地。」(詩篇73:26、新改訳)
6.木曜日:休み、そしてさらに
神がエリヤにさせたことは、まず食事をとることでした。徐々にエリヤは元気を取り戻していきます。そして、40日間ウォーキングをします。やがて洞窟にたどり着き、エリヤは神の声を聞きます。エリヤは、自分には仲間と後継者が与えられることを知り、励まされていきます。
神の癒やしは、すぐに起こったりもしますが、そうでない場合もあります。ゆっくりと、生活習慣や思考パターンを改善しながら、私たちを癒やしへと向かわせます。焦ることもあるかもしれませんが、一歩一歩、神に力づけていただきながら、癒やしの道を歩んでいくのです。
7.金曜日:さらなる研究
「イエスから目を離さず、感情が伴っていようとなかろうと、信仰によって静かに祈りを捧げ、主の御力に堅く立ちなさい。捧げる祈りの一つひとつが神の御座に突き刺さり、決して約束を破ることのないお方がすでに応えてくださったかのように、ただ前進しなさい。・・・私たちは、闇と影の重苦しい力を通り抜け、晴れ渡った光り輝く主のみ前に出るのです。」(『セレクテッド・メッセージ』第2巻242、243ページ、英文)
病気の症状は、良くなることもあれば、悪くなることもあり、そのことに一喜一憂してしまいます。しかし、良い時も悪い時も、いつも神が共にいてくださり、私たちを導いてくださっていることを忘れないでいたいと思います。そして、やがてイエス・キリストが来られる時に、完全な癒やしが与えられることを希望とし、今を生きていきましょう。
<質問>
病気の症状がなかなか良くならない時であっても、あなたにとって慰めとなることは何ですか?