2021年第3期「キリストにある休み」
第7課 休み、関係、そして癒し 平本 光
- 今週のポイント
- 今週は創世記のヨセフの経験から苦しめられた相手を赦すことと、赦された相手の不安な心に何が与えられるかを学んでいきます。
- ヨセフは自分を奴隷として売った兄弟に対して復讐することもできました。兄によって売られエジプトで奴隷として過ごしました。牢獄に入る経験もしました。しかし、ヨセフは売られたという経験から、過去と向き合い、変わりました。「その恐ろしい不幸が甘やかされた少年から思慮深く、勇敢で沈着な大人に彼を変えた」(『人類のあけぼの』上巻235頁)。ヨセフはそれから、何が起こっても、神様に忠実に従って行こうとしていたので、自分が苦しい経験を通してエジプトの総理大臣となり、飢饉のために目の前に助けを求めて兄弟が来たときに、復讐ではなく、家族の心配をしています。神が共に居ることを意識することが大切です。
- ヨセフは兄たちを赦しています。赦すことは目の前の相手のためではなく、私たち自身が人生を先に進めるために必要です。
- 赦しは私たちを苦しめた相手に対して抱いているマイナスな感情の全てを神に明け渡すことであると教えています。マイナスの感情を持って生きるときに私たちは過去に縛られているような感覚で人生を先に進めることができません。このマイナスな感情をすべて神に明け渡すことで私たちは他者から苦しめられたことを忘れて、赦すことができ、前に進めます。私たちにはキリストの十字架によって神から赦されていることと、赦すことが必要なのです。
- 赦すために、私たちは傷ついていることを認めるよう教えています。認めるという作業は自分と向き合うことで、傷ついたことを思い起こすので、苦しいかもしれませんが、向き合って気づいたことをすべて神にゆだねることで、私たちは忘れることもでき、相手を赦せるのです。
- 赦したことであっても、相手にとっては許されていることが実感できないこともあります。ですから、その度に赦しましょう。キリストが私たちを何度も赦されるように、私たちも赦し続けることで苦しみからは解放されて神様を第一として安心して休むことができるのです。
- 用語解説
- ヨセフの兄弟:10人の兄と1人の弟がいます。ヨセフを合わせて12兄弟です。
- エジプトに売られる:ヨセフは父ヤコブから特に大切にかわいがられていました。父も12人に分け隔てなく愛を注がず、ヨセフばかりを特別に扱いヨセフはそれを兄たちに自慢する幼さがありました。10人の兄たちもまた父からの愛が足りないことから、ヨセフを奴隷として売って、父にはヨセフが亡くなったことにして、父の愛が兄弟に行き渡るようにしました。
- 許しと赦し:許可などの「許し」と罪や過ちを「赦す」と違いがあります。今回の内容から神もキリストの十字架を通して、あなたを赦すので、あなたも他者を赦すようにと強調しています。
- ディスカッションのためのテーマ
- 赦せない問題があったときに、どのように赦してきましたか。
- 赦せないことを抱えていて祈ること以外に相談できる友がいるなら、どのように相談しますか。