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第7課 アッシリア人の敗北 武田 将弥
1.安息日午後
イギリスのロンドンに「大英博物館(ブリティッシュ・ミュージアム)」という、とても有名な博物館があります。私も20年くらい前に一度だけ行ったことがありますが、美術品や歴史的に価値のあるとても珍しい物が数え切れないほど展示されていました。今は新型コロナウィルスが世界中で流行っているので、海外旅行に行くのは難しいですが、インターネットで大英博物館のホームページを開くとパソコンの画面越しに、館内の様子を誰でも簡単に見ることが出来ます。
今週のガイド(49p)の説明に書いてある壁画を、私もインターネットで調べてみると、博物館の展示品の中に「アッシリアのセンナケリブ王」についての記録が描かれた壁画がありました。その壁画には戦争で激しく襲われるラキシュの町や、捕虜が残酷な方法で傷つけられている様子などが描かれています。イザヤ書36:1や列王記下18:13のお話が本当にあった出来事であり、当時の様子がイメージしやすくなりました。
2.日曜日:付帯条件
南ユダ王国のアハズ王は、アッシリアの属国になって従うことで、守ってもらうことにしました。しかしアッシリアの国と仲良くすると、自分たちの国に偶像礼拝をする習慣が入ってきてしまいます。それに守ってもらう代わりに「みかじめ料(用心棒代)」を払わされ続けました。アハズ王は神様に守ってもらうことを考えず、人間に助けてもらうことを考えたのでした。やがて神様が悲しまれることを数多くしてきた悪王のアハズは死んで、逆に神様が喜ばれることを一生懸命に行う息子のヒゼキヤが王様になります。このヒゼキヤ王は自分の父親たちが行ってきた偶像礼拝などの、神様が嫌うものを次々と禁止し、国を正しい姿に戻そうと努力したので、神様がいつも守ってくれました。
そんなある時アッシリアの王様が死んで、センナケリブという人が新しいアッシリアの王様になります。この時をチャンスだと考えたエジプトやバビロニアの国々が、アッシリアと戦争を始めます。ヒゼキヤ王も良いチャンスだと考えて、ヤクザのようにお金を要求してくる怖くて乱暴なアッシリアと決別することにしました。しかし予想とは違ってエジプトやバビロニアは負けてしまい、怒ったアッシリアは次々と町を攻撃し、ついにヒゼキヤのいるエルサレムまで軍隊で攻めてきました。
3.月曜日:宣伝工作
エルサレムのヒゼキヤ王は敵が攻めてくることを知って、自分の兵隊や石の壁を強くして戦いに備えました。敵のセンナケリブ王は残酷な性格で、とても頭が良い人物でした。戦争を始める前にエルサレムの戦う気を無くすために、アッシリアの高官だったラブ・シャケという話の上手な人を使って、やる気を失わせる作戦に出ます。ラブ・シャケは「お前たちの王、ヒゼキヤにだまされるな! それに神様が守ってくれるわけないだろう。あれだけ強かったエジプトだって負けたんだ。だからお前たちの小さな国なんか簡単に負けてしまうぞ。いま降参すれば命だけは助けてやる。早くエルサレムの町を俺たちによこせ~!」と、大声で呼びかけました。
実はこのセンナケリブとラブ・シャケは、悪魔サタンとそっくりです。サタンも残酷で頭がよく、お話がとっても上手なのです。そして言っていることは、ほとんど本当のことなのです。しかし悪魔は話の中に、ほんの少しだけウソを混ぜて話しかけてきます。だからウソか本当かの見分けが難しいので注意が必要です。
4.火曜日:揺り動かされるが、捨てられない
恐ろしいセンナケリブ王や高官のラブ・シャケを通して、悪魔サタンはヒゼキヤ王の信仰を攻撃してきました。みんなの心は動揺しますが、神様に祈って助けを求めます。するとイザヤを通して「大丈夫だから安心しなさい。私はあなたを守り抜いてあげます。」と励ましのメッセージが与えられました。だからヒゼキヤ王はアッシリア軍の恐ろしい脅しに屈しないで、エルサレムを明け渡すことを勇気と信仰を持って断りました。
5.水曜日:物語の続き
神様はヒゼキヤの信仰に答えてくださり、約束通りにエルサレムを助けてくれました。なんと夜中のうちにアッシリア軍の18万5千人の兵隊たちが、主の御使いによって打ち倒されたのです。さすがのセンナケリブ王も兵隊がいなくては戦えないので自分の国に戻っていきましたが、暗殺されてしまいます。普通に考えてエルサレムには絶対に勝ち目はありませんでしたが、神様が守ってくださったので助かったのです。
6.木曜日:病と富
戦争が終わるとヒゼキヤ王は重い病気になりますが、神様に祈って寿命を延ばしてもらいます。そしてこの奇跡が本物の奇跡である証拠として、太陽を少し後戻りしてみせました。こんなことは神様にしかできません。この太陽の不思議な動きに気がついたのがバビロニア人でした。イエス様が生まれた時に不思議な星の導きによって神様と出会えた東方の博士たちと同じように、バビロニアの人たちも導かれました。
バビロニアの王様も乱暴なアッシリアに手を焼いていました。ヒゼキヤ王の重病が治ったことや、太陽が不思議な動きをしたり、戦争でも守られたことを噂で知って、ユダの国エルサレムには神様が味方していると感じたと思います。だから仲良くするために家臣を送ってお見舞いをしました。気分を良くしたヒゼキヤ王は、バビロニアのお客たちを歓迎し、自分の国にある財宝や武器など、全ての物を見せて自慢してしまいます。
7.金曜日:さらなる研究
ヒゼキヤ王の重い病気が癒やされたのも、太陽が不思議な動きをしたのも、勝ち目のない戦争に勝てたのも、すべて神様のお陰でした。ですから財産や持ち物などは全て神様による物であって、自分の物は何一つありません。人間は謙虚にならざるを得ないことを、ここでは教えています。
★振り返りの質問★
あなたは絶体絶命のピンチになってしまったことはありますか? その時に自分を支えてくれたものは何でしたか? 可能であれば誰かと自分たちの経験を分かち合ってください。