安息日学校部

第6課 聴覚しょうがい者用 廣前 早輝人

2023年第3期「エフェソの信徒への手紙」

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      第6課   福音の神秘  廣前早輝人

 

1.安息日午後

エフェソ1章で語られているように、私たちには神様の「秘められた計画」(エフェソ1:9)が用意されています。神様のこの壮大なご計画の範囲については第2課ですでに学んだ通りです。「すなわち、異邦人が福音によってキリスト・イエスにおいて、約束されたものをわたしたちと一緒に受け継ぐ者、同じ体に属する者、同じ約束にあずかる者となるということです。」(エフェソ3:6)エフェソの手紙の大きなテーマでもある「一致」それも「“キリストにある”一致」について語られています。

パウロは投獄という困難の中にありました。しかしその情熱は衰えることなく燃え続け、エフェソの人々、そして現代の私たちにまで熱く語りかけているのです。

 

2.日曜日:異邦人のために投獄された使徒パウロ

エフェソ3章に目を通してみましょう。「こういうわけで、あなたがた異邦人のために……囚人となっている」(エフェソ3:1)という書き出しで始まっています。パウロが投獄という苦難を経験しているのは異邦人のためであるということです。パウロが異邦人のための働きをどれほど重く受け止めていたのかが伺えます。

エフェソ3:1でなされている「キリスト・イエスの囚人」という表現にもパウロの信仰が表されています。実際にはローマの国に囚われているパウロですが、そこには神様の大きな目的があり、その働きを十分に果たすために囚われているという信仰の下、「キリスト・イエスの囚人」と自らを表現しているわけです。

パウロが投獄中であるという知らせを聞いた当時の人々は、精神的なショックを受けていたことでしょう。しかしパウロは人間に囚われているのではなく、神様に囚われているのです。神様の大きな愛、十字架による贖いの働きを体験する時、私たちもまたその愛に囚われる経験をするのではないでしょうか。

「だから、あなたがたのためにわたしが受けている苦難を見て、落胆しないでください。この苦難はあなたがたの栄光なのです。」(同3:13)

 

3.月曜日:長く秘められていた計画

エフェソ3:1〜6を読んでください。神様の秘められた計画について語られています。ここにはユダヤ人と異邦人という大きな2つの勢力があり、その関係性について神様の望まれる姿が示されています。

注意点が5つ挙げられていました。

① この文章は異邦人信徒に向けて書かれている。

② 異邦人信徒のために与えられている。

③ 秘められた計画が啓示されている。

④ 啓示されたのはパウロだけではない。

⑤ ユダヤ人と異邦人は共に受け継ぎ、同じ体に属し、同じ約束にあずかる者となる。

彼らは教会という共同体になり、キリストによってひとつとなるように変えられていきます。今日の私たちの教会は彼らのような一致を経験しているでしょうか。秘められた計画は誰のために用意されているものでしょうか。

 

4.火曜日:神の知恵を解き明かす教会

エフェソ3:7〜13でパウロは、自身のことについて、そして神様のお働きについて語っています。

エフェソ3:8では自分のことを「聖なる者たちすべての中で最もつまらない者」と表現しています。これは、自分がいかに救われる価値のない者であるかを自覚しているパウロの様子が描かれています。同時に、賜物は受ける者の価値によらず、ただ神様の恵みによってのみ与えられるということを示しています。

「イエスに近づけば近づくほどますます欠点が多く見えてきます」(『キリストへの道』96頁)。この言葉は私たちの持つ自信の根拠に影響を与えます。人間的な根拠に基づく自信ではなく、パウロのような主にある自信を持つことは宣教の使命を担う私たちにとって大切なポイントとなります。

 

5.水曜日:あなたの心に住まわれるキリスト

すべての時(エフェソ1:9、10)を超えて、すべてのもの(同1:21)に及ぶ神様の救いのご計画が示されています。そしてパウロはそのすべてが「御父」(同3:14)に属していることを主張しています。

私たち人間は不完全な罪人でありながらも、その所有権は神様にあり、神様に属する者と言えます。自分の力ではどうすることもできない罪の世界であっても、神様に属する者となる時、悪に対抗する力を得るのです。

私たちはキリストとの親密な関係を日々築き上げていかなければなりません。「キリストの愛の広さ、長さ、高さ、深さがどれほどであるかを理解」(同3:18)する時、私たちはキリストと共に歩む者となり、キリストが私たちの内に住まわり、その力を大いに働かせてくださいます。

 

6.木曜日:教会とキリスト・イエスにある栄光

エフェソ3:20、21を確認しましょう。パウロの力強い祈りと賛美が記されています。20節ではまず神様の御力の偉大さに触れ、神様が私たち人間の想像をはるかに超えて働かれるお方であると褒め称えています。そのような力を持って働かれるお方に「栄光が世々限りなくありますように」(エフェソ3:21)と祈ります。神様に全てを委ね、そのお働きが完全に遂行されることを祈っているのです。

また、21節では「教会により、また、キリスト・イエスによって」栄光があるようにと祈っています。パウロは自分が神様の働きの一端を担っていることを強く自覚し、教会の状態によって宣教が前進するのか停滞するのかが決まることをよく理解していました。これは当然今日の教会にも適用できる問題です。私たちは、キリストを通して与えられる恵み、祝福、賜物を正しく用いて、神様の栄光を現す教会でなければなりません。神様のご計画の一部に加わっている自覚と責任を持ってこの祝福に与りましょう。

 

7.金曜日:さらなる研究

私たちは自分自身を見つめ直す必要があります。自分の性格、傾向、弱さ、言動、そして信仰について、さまざまな要素によって成り立つ自身と向き合い、理解を深めていくことは、キリストの贖いの御業をより深く知ることにつながります。

福音の神秘、その素晴らしさは決して変わることがありません。変わるのは福音ではなく私たちの方です。キリストとより深く、より親しい交わりを持つ時、私たちにとっての福音もまた一段と素晴らしい神秘へと変わっていくことでしょう。

 

【学びを振り返る質問】

① あなたにとっての異邦人とは誰でしょうか。その方とどのようなキリストの交わりができるでしょうか。

② 自分が救いを経験した時のことを思い起こしてください。その経験をより深めていくためにはどうしたらよいでしょうか。