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第6課 力の限り闘う 下村和美
1.安息日午後
子供を殺される経験をした男性と女性がいました。女性は、息子を20年前に殺されて以来、彼女の怒りと悲痛の大きさは今も変わっていませんでした。しかし、男性は、娘をテロリストに殺されましたが、テロリストを赦し、神によって心の傷がいやされたと語ります。この男性が経験した人生の最も暗い時の経験は、私達にとって神の癒しについて教えてくれています。
今週のポイント
今週は自分と罪との闘いで考えられる3つのポイント
①罪と闘う時、自分の意志の果たす役割は何か、また意志の力とは何か?
②感情に支配されたまま何かを決断するという過ちを避けるためにはどうしたらよいか?
③私達は何故、試練の中にあって耐え抜かなければいけないのか?
2.日曜日:真理の霊
私達は、神の偉大な変える力が私達の内に働いてくださることを願って「神様、私を良い人間にしてください」と祈っても変わらないのは、私達が神様の希望と反対のことを選ぶこともでき、神様の希望と反対のことを選んでいるからです。
聖霊は私達の罪深さについての真理を示しますが、私達を無理やりに悔い改めさせたり、神様の真理を信じ従わせたりはしません。それは私達が試練の中にいる時も同じです。試練があるのは、私達が神に従わず、悔い改めず、神様の希望と反対のことを選んでいる場合があります。この試練の中でこそ、神は偉大な変える力を私達に働かせて悔い改め、神に自ら従いたいと私達が思うように待っておられるので、私達は自ら悔い改めたい、神様に従いたいと選ぶことが求められています。
3.月曜日:神と人の協力
人生で価値あることを成し遂げようと思えば、時間と努力を費やさねばなりません。私達がキリストの弟子になることも同じように時間と努力を費やさねばなりません。パウロの働きは、パウロ個人の大変な時間と努力を費やしてできたものでしたが、その働きはパウロの内に共に働く神の力によってパウロの内にキリストの品性を養う事にもなったので、神と人が互いに協力し合って達成したものでしたとパウロは言います。神だけが動いて人間は何もしないで待っているは、危険な考えです。
4.火曜日:訓練された意志
私達が「こう成りたい」「こうしたい」と思う意志の最大の敵は、私達自身の感情です。感情は何が正しく、何が最善かと決めることに関係なく私達に働きかけてきます。だから感情は人を欺き、現実を歪めて見せ、誤った判断をさせて、人が自ら試練を招く方向に向かわせることもあります。
ペトロはペトロの手紙一 1:13の御言葉の中で、感情に流されることなく「…いつでも心を引き締め、身を慎んで、イエス・キリストが現れるときに与えられる恵みを、ひたすら待ち望みなさい。 」と聖書のみ言葉に基づいて自分はこう成りたいと思うように訓練して歩みなさいと教えています。
5.水曜日:過激な措置
神が「過激な」措置を必要とするのは、徐々に私達と私達の社会が神の御計画から離れてしまったからです。マタイ5:29,30の「過激な」言葉は、イエスが私達の体を傷つけることを求めているのではなく、イエスは犠牲を払ってでも私達が神の御計画から離れないようにしてもらいたいと求めておられるからですが、私達が祈れば神が直ぐに私達の罪深い傾向を取り除いて下さると考えてはいけません。神は直ぐに私達の祈りを聴いて下さる時もありますが、神が私達の何かを諦めさせたり、何かを始めさせたりするために「過激な」言葉を用いる時もあります。
神は、私達が周囲の人々の騒音に心を奪われている時に、私達の注意を神様の側に向けるために「過激な」試練を用い、私達が神から離れていたことに気づかせてくださいます。試練は、私達が父なる神の御計画に戻るために強い決断をさせるための招きであると言えます。
6.木曜日:忍耐する必要
私達は何が正しいか、また正しいことを実行するためには「こう成りたい」「こうしたい」と私達が思わなければなりませんが、実際に大変な状況にある時に、神と神の約束にすがり続けることに困難を感じることも知っています。ここで重要な力の一つは「忍耐」です。忍耐は投げ出したりせず、継続し続ける能力です。
聖書の中で忍耐の人はヤコブです。ヤコブは兄のエサウから長子の特権を奪い取った結果、兄エサウの殺意を恐れて逃亡します。その逃亡先で天まで達する階段の夢を見て、神の導きと祝福の約束を与えられますが、この約束が真実であるのか神からの保証を求めます。そこでヤコブはイエスと思われる天使と朝まで格闘をして、最後は足の関節を外される激痛の中、ただしがみ付くだけでしたが、忍耐して神からの祝福の保証を求めました。
ヤコブの祝福は、ヤコブが足の関節を外され、痛みに忍耐しながら神にしがみ付いて与えられました。私達もヤコブと同じように神からの試練という痛みに忍耐しながら主にしがみ付いて与えられることを信じる信仰を持ち続けたいと思います。
7.金曜日:さらなる研究
「人の品性を形づくるのに大切な要素は私達の「こう成りたい」「こうしたい」と思う意志にありましたが、人類がサタンによって堕落した後、人はサタンの意志に支配されて不幸と滅びの道に導かれてしまっている。」(「教会への証」第5巻515頁、英文)
「人間は、神の助けを受けるために、まず自分の弱さ、足りなさを自覚しなければならない。彼は、自分の中に大いなる変化が起こるように専心努力しなければならない。彼は、目をさまして熱心にたゆまず祈り、努力しなければならない。悪い習慣や風習は捨て……あやまちを正し、正しい原則に調和するように堅く決心して励んでこそ、勝利は得られるのである。多くの人は、当然得られる地位を得られないでいる。というのは、彼らが自分で実行するように神から力が与えられているのに、神が彼らのためにしてくださるのを待っているからである。……神は人間の努力に神の力を加えて助けてくださるのである。」(「希望への光」126頁、「人類のあけぼの」上巻284頁)