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第5課 すべての民族とバベル 平本 光
1.安息日午後 今週のテーマ
今週はノアの3人の息子たちの中のカナンの父となるハムに焦点を当てて考えることから始まっています。
神の救いの計画は、さまざまな問題によって妨げられています。
その中の一つが「バベルの塔」です。
しかし、この妨げられたことさえも神様は用いて悪をよいものに変え、最終的にはすべての民族の祝福に変えられることについて学んでいきます。
2.日曜日:ハムの呪い
酒に酔い、裸で眠っていたノアの行動とエデンの園でのアダムの行動の共通点が挙げられています。
人に罪が入り込んで神様の守りから離れたとき、自分が裸であることを知り、それを隠し、呪い(神様から離れたために悪いことが起こる)を受けますが、神が問題を解決する祝福を与えられるということです。
ハムの父ノアに対しての行動は将来にまで影響を与えました。
私たちも親だけでなく隣にいる相手を大切にしないときに、同じように将来に悪い影響が出ます。
ハムの呪いは息子カナンにまで及びました。
そのカナンの子孫は神から離れていきました。
しかし神はカナン(征服を意味する)の子孫のいるカナン地方を別の兄弟セムの子孫たちを通して、征服することで、祝福となっていきました。
その土地が後にエルサレムとなり、そこでイエス・キリストの十字架にかかり、全ての罪を取り去ります。
ハムの罪の結果が、神によって祝福が他の人々にも及ぶものに変えられました。
神の計画では私たちの罪も赦されていくのです。
3.月曜日:創世記の系図
聖書にある家系図の目的は三つあります。
①聖書の出来事に登場する人物が実在し生きてきた正確な記録が必要であるため。
②聖書に記録されている出来事がその時代に確かに起こったことであり、現在につながっていることを明確にするため。
③人間の人生が、いかにあっけない(儚い)ものであり、罪の結果の悲劇的な影響が、いつの時代でも取り返しのつかないほど重大な結果となっていることを思い起こさせるため。
この三つです。
アダムから聖書に登場する人物たちが実在する人々であり、私たちは過去から学ぶことで神に従うか、罪を選ぶかでどのような影響が起こるかを学ぶことができるのです。
4.火曜日:一つの言葉
バベルの塔の建造に関する聖書の言葉は神に対してのみ用いられる、神がご自分の姿にかたどって人を創造することにしたときのような表現がバベルの塔を建てようとしている人に用いられています。彼らは神の創造されたものにとって代わるものを彼らの形にかたどって造り出したいと思っています。
「なぜなら、自分たちの運命をコントロールし、自分たち自身で救済を保証したいと思ったからです。彼らは、目に見えない神と神の約束に信頼することを拒みました。降りてこられる神を否み(断る。拒否する)ました」(副読本41頁)、とあるように、神に信頼できなかったのです。
神になりたいという行動はダニエルの時代に同じようにそのバベルの塔が建造されようとした場所で行われます。
しかし、この行動も成功していません。この神に代わろうというチャレンジには成功がないことを教えています。
5.水曜日:「我々は降って行って」
天にいる神様の所まで行こうとするバベルの塔を建てようとする人々のどんな努力にもかかわらず、神は彼らの行為が間違っており、悔い改めたいと天から降ってこられました。
皮肉なことに天へと上がっていかなければならない私たちのために降ってきてくださることなしに救いが成り立たないという事実があります。
そして救われた私たちはその応答として、思いを天に向けていくことが大切です。
「祈りは、神を私たちにまで呼び降ろすのではなく、私たちを神のもとへ引き上げるのです」。(『キリストへの道』改定文庫版131頁)
6.木曜日:放浪者たちの贖い
神の計画は、人が増えて全地に広がっていくことでしたが、一緒にいることで強くなれるとバベルの塔を建てようとしている人達は離れようとしませんでした。
しかしお互いの人間性やお互いの違いを認めることができていませんでした。
そこに神は降って来られ、バベルの塔を建てようとしていた人達の言葉が通じなくなりました。お互い話しているのに、通じ合えなくなりました。
「ユダヤの伝承はこう伝えています。『ひとつの言語、ひとつの話し言葉、ひとつの方言を所有する代わりに、彼らは、お互いに、異なった諸言語と諸々の方言で、お互いに話し始めた。すると大混乱が起きた。誰も他の人たちが言っていることがわからなかった』(副読本43頁)」。
バビロン人はバベルの名前の意味を「神の門」として理解していましたが、「神の門」のある天を目指してバベルの塔を建てていた彼らの願いにもかかわらず、神が彼らに降ってこられ、神の門へと自分たちが攻め上ろうと一致団結したものは結局のところ、混乱される(バラル)こととなりました。
しかしバラバラになった人々は神の計画のように全地に増え広がっていき、その中から神を信じる者が現れ、福音が広がっていくのです。
7.金曜日:さらなる研究
神に代わって自分たちが世界を創ろうとしたバベルの塔の働き人の考え方について副読本で、人の命よりも、神のおられる場所まで高く積み上げられていくためのレンガに価値があったと書かれていました(副読本40頁)。
神は一人ひとりに価値を持って、神に従い、生きるように求めておられますが、自分が神に代わって支配しようという人の心には、周りを思いやる気持ちが無くなっています。
私たちが神によって価値あるものとされていることを忘れることなく、すべての人にキリストの福音が伝わるように、働いていけるよう、いつも離れることなく神に近づけるように求めましょう。
ディスカッションのためのテーマ
・自分の計画が失敗に終わった後、それが祝福になった経験がありますか。
・神に代わって自分を第一にしてしまうことが無いように、どのように気を付けることができますか。