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第3課 あなたの世界が危機に直面するとき 松下晃大
1.安息日午後
ペットをたくさん飼っている家での悲劇の話が載っています。1羽の鳥が隣の家の犬に殺されてしまったことを、飼い主が殺したと他のペットが勘違いをし、飼い主に敵意を向けるという話です。
今週は、イザヤ7:1〜14を開き、南ユダ王国のアハズ王の記録から学びます。彼の失敗と神様のしるしについて考えましょう。
2.日曜日:北の脅威(イザヤ7:1〜9)
イザヤ書7:1、2は、アハズ王が治める南ユダ王国が危機に直面したことについて語っています。アハズ王は南ユダ王国の第12代王様で、20歳の時に即位しました。アハズ王の記録については、ぜひ列王記下16章をお読みください。聖書は、アハズ王が歴代の南ユダの王の中でも最悪の王の1人だったと記録しています(列王記下16:3、4)。
アハズ王が治めていた時、南ユダ王国に、隣国北イスラエル王国とシリアが団結して攻めてきました。北イスラエル王国とシリアは、強大なアッシリア帝国の脅威に脅かされていました。そのため、南ユダ王国を取り込んで、少しでも抵抗しようと考えたのです。
北イスラエル王国と南ユダ王国が攻めてきた時、アハズ王はどのような解決策を行ったでしょうか? アハズ王は、神様を信頼し、神様に助けを求めることはしませんでした。代わりに、アッシリア帝国の王ティグラト・ピレセル3世に助けを求めます。結果、ティグラト・ピレセル3世は、アハズ王に多くの支援を送り、北イスラエル王国とシリアの連合は崩壊しました。アハズ王は、南ユダ王国を救ったのです。
アハズ王の行動は、政治的には正しいものだったかもしれません。しかし、聖書的にはどうでしょうか。私たちは本当の試練にあった時に、どのように行動するでしょうか。アハズ王のように自分の力で乗り越えるでしょうか。ぜひ、神様を信頼して、神様に助けを求めていただきたいと思います。
3.月曜日:妨害の企て(イザヤ7:3~9)
アハズ王が北イスラエルとシリアの脅威に対処するために、アッシリア帝国に助けを求めていた時、アハズ王の知らないところで、神様の働きがありました。
まず、神様はイザヤに実の息子を連れてアハズ王に会いに行くように言います。その息子の名前は「シェアル・ヤシュブ」(イザヤ7:3)と言い、名前の意味は、「残りの民は帰る・悔い改め」です。アハズ王は、イザヤから息子「シェアル・ヤシュブ」を紹介されて、驚いたはずです。その名前の意味から、民が捕囚になることの預言のように捉えることができます。また、神様への悔い改めを促す意味にも捉えることができます。
イザヤ7:4〜9は、アハズ王の置かれた状況を説明しています。アハズ王は政治的な判断により、南ユダ王国を守りました。しかし、やはり神様の導きや守りを信頼するべきでした。「信じなければ、あなたがたは確かにされない」(イザヤ7:9)とイザヤは神様からの言葉をアハズ王に伝え、信仰に応じるように求めています。
4.火曜日:新たな機会(イザヤ7:10〜13)
アハズ王は、イザヤの信仰の求めに応じませんでした。しかし、憐みに富む神様は、新たな機会として神様にしるしを求めるように告げられます(イザヤ7:11)。これは最高の信仰の招きの1つです。
しかし、アハズ王は、しるしを求めることを拒みました(イザヤ7:12)。憐みに富む神様が、神様を信頼する新たな機会を与えてくださったにも関わらず、アハズ王は拒んだのです。心の扉を閉めたのです。
アハズ王は、神様を試すことを拒むことによって、外面的には神様を煩わせないようにしているようで、実はそのことが神様を煩わせているのだと、イザヤは指摘します(イザヤ7:13)。そして、この13節でイザヤは、「あなたの神」ではなく、「わたしの神」と言っています。これは、アハズ王が神様を拒んだことによって、神様がアハズ王の神様ではなくなったことを意味します。
イザヤ7:10〜13の神様とアハズ王のやりとりから、神様が提供する恵みや救いをわたしたちは拒んでいないかを考えさせられます。わたしたちはどうでしょうか。
5.水曜日:「男の子」のしるし(イザヤ7:14)
しるしを求めなさいとの神様の申し出は、アハズ王を動かしませんでした。そこで今度は、神ご自身がしるしを与えると仰せになりました(イザヤ7:14)。このイザヤ7:14はクリスマスの時期などによく聞く有名な言葉です。
神様が与えるしるしは「男の子」です。そして、「おとめ−若い未婚の女性」がその男の子を産みます。さらに、その男の子は「インマヌエル」と呼ばれます。この神様のしるしが誰であるかということについて、様々な意見があります。
しかし、新約聖書は、イエス・キリストを「おとめ」から産まれた「男の子」であり、「インマヌエル」であると確認しています(マタイ1:21〜23)。
6.木曜日:「神われらと共にいます」(イザヤ7:14)
「インマヌエル」という名前の意味は、「神われらと共にいます」です。そして、イエス様(インマヌエル)というしるしが与えられた時に、「神われらと共にいます」という約束が成就されたのです。
神様が私たちと共におられるという約束は、どれほど私たちにとって大切でしょうか? これほどの大きな安心と慰めはありません。
神様は私たちに、困難や苦痛を与えないとは約束されていません。しかし、神様は私たちと「共にいる」と約束しておられます。詩篇23:4「死の陰の谷を行くときも、わたしは災いを恐れない。あなたがわたしと共にいてくださる。あなたの鞭、あなたの杖、それがわたしを力づける。」
イエス様は天に帰られた後も、今も、わたしたちと共にいてくださり、全ての経験を分かち合っておられます。
7.金曜日:さらなる研究
①大きな問題や危機が訪れたとき、わたしたちはどうするでしょうか。アハズ王の対応を思い返し、わたしたちがすべき判断について話し合いましょう。
②神様はわたしたちにしるしとして、イエス様を与えてくださいました。「インマヌエル−神われらと共にいます」この約束の意味について考えましょう。神様が共にいるという安心と慰めについての個人的な体験を話し合いましょう。