2021年第4期「申命記に見る現代の心理」
第12課 新約聖書に見る申命記
- 今週のポイント
- 【土曜日】新約聖書は旧約聖書を土台にしています。実際に、新約には旧約からの引用が無数にあり、最も多く引用されているのが申命記です。申命記のメッセージは、新約において更に深められていると考えることができます。
- 【日曜日】荒野でサタンの誘惑を退けられた時、イエスが用いたのはいずれも申命記の御言葉でした(申命記8:3、6:16、6:13)。イエスが御言葉を引用したのは、論争によってサタンを言い負かすためではなく、自らの立場を明らかにし自分自身を神の側に置くことが目的でした。御言葉は適切な目的の元で用いられる時、人に力を与えるのです。
- 【月曜日】申命記10:17に、神は「人を偏り見ず」という一節があります。これはヘブライ特有の表現で「人によって対応を変えない」(公正)の意を持ちます。十字架に至るキリストの福音も、神がいかに人を偏り見ない方であるかを体現しています。また、新約記者はこのコンセプトを日常の応用に広げ、より具体的な形で教えています。
- 【火曜日】「律法に従うこと」と「律法の実行に頼ること」には、天と地ほどの違いがあります。パウロは申命記21:23を引用し、木にかけられたものは本来神に呪われた者であることを確認します。その上で、イエスの十字架が私たちの身代わりであり、赦された人は誰でも律法に従うことができるようになるのだ、と教えています。すなわち、「律法に従う」とはイエスの十字架を信じることから生じる新しい生き方なのです。
- 【水曜日】モーセは偉大な仲保者(神と人の関係をとりもつ役割を任された者)でした。当時、民はモーセの存在によっていくつもの窮地を脱しています(出20:18-21)。申命記18:15-19で、神はモーセを超える仲保者——メシア——を人々に与えることを約束しました。新約記者はイエスの誕生こそ、その成就であると考えています。
- 【木曜日】ヘブライ人への手紙は、すでにイエスを信じるものたち向けて「主に忠実であるように」と書簡全体を通して訴えています。ヘブライの著者は、申命記32:25を引用し、彼らに与えられている福音の2つの側面(「恵み」と「責任」)を明らかにし、その両面にしっかりと向き合うことの大切さを説いています。
- ディスカッションのためのテーマ
- 日常で御言葉を引用する機会がありますか? どうすれば、必要な御言葉を必要に応じて思い出すことができるでしょうか?
- どんな時に「人を偏り見」てしまいますか? キリストの十字架を思い起こすことは、そのような時の助けになりますか?