〈男性1-ナレーター〉
ティッチはお母さんに大切なおつかいを頼まれました。お店に行くこと、それから、おばさんの家に行くことです。
お店とおばさんの家は、ティッチの家から離れていました。ティッチの家はザンビアの奥地にあったのです。そのため、自転車で行かなければなりません。行きに1時間、帰りに1時間かかる、長い道のりです。
おつかいを頼まれたのは午後3時過ぎでした。ティッチは、暗くなる前に家に帰りたいと思いました。夜に、ライオン、ゾウ、ヘビが出るからです。
ティッチは、お祈りをしました。「神様、これから町へ行きます。僕を導き、危険な動物から守ってください。神様は前にも守ってくださいました。今日も守ってくださることを感謝します。アーメン」
町に向かいました。ペダルをこぎながら、お気に入りの賛美歌、『みめぐみ、ゆたけき、主の手にひかれて』を、何度も歌いました。
町に着くと、お店に行って、砂糖、塩、油、洗剤を買いました。次に、おばさんの家に行き、お母さんの服を受け取りました。
おつかいに時間がかかり、帰る頃には太陽が沈みかけていました。長い影が地面に伸びています。辺りは暗くなってきました。
ティッチは不安になりました。道に灯りはなく、ほとんど何も見えません。小さな懐中電灯は持っていましたが、十分ではありませんでした。
ティッチはペダルを速く漕ぎました。真っ暗になる前に帰りたかったからです。
近道がありました。茂みの中を通る、舗装されていない道でしたが、その道を通れば、早く帰ることができます。
ティッチは道を外れ、その道に入りました。
太陽はどんどん沈み、あたりはどんどん暗くなります。ティッチはどんどん早く漕ぎました。
すると、とても不思議なことが起こりました。いくらペダルを漕いでも、スピードが出ないのです。全力で漕ぎましたが、自転車は減速するばかり。思いっきりペダルを踏みましたが、自転車は完全に止まってしまいました!
ティッチは驚き、戸惑いました。懐中電灯を出すと、どこが悪いのかを確かめました。チェーンは外れておらず、どこもおかしくありません。ティッチの戸惑いは大きくなりました。
懐中電灯で、ふと前方を照らしたティッチは、飛び上がって震えました。前方に、大きなヘビが見えたからです。長さは4メートルほどで、道を横切っていました。あのまま自転車に乗っていたら、ぶつかっていたかもしれません。
家を出る前にしたように、再びお祈りをしました。
「神様、僕の命を救ってくださり、本当にありがとうございます。どうか、このヘビを去らせ、家に帰れるようにしてください。アーメン」
目を開けると、ヘビが動き、暗闇に消えていきました。自転車に乗ると、ペダルは問題なく動きます。ティッチは急いで家に帰りました。
興奮して、何が起こったのかをお母さんに話しました。
「どうして自転車が動かなくなったか、分からなかったんだ。でも今なら分かるよ。ヘビから救うために、神様が自転車を動かなくされたんだ。周りに誰もいなくても、神様が僕を救ってくださったんだ。」
お母さんは、神様が息子を守って下さったことを喜び、感謝しました。
それ以来、ティッチを午後に町へ行かせることはやめました。今は午前中に行かせ、暗くなる前に家に帰れるようにしています。
今期の13回献金は、危険な動物から守ってくださる神様のことを、子どもたちに伝えるために役立てられます。
ティッチが住むザンビアや、南アフリカ・インド洋支部の子どもたちが、13回献金によって、子ども用の聖書を受け取ることができるのです。
皆様の惜しみない献金を感謝いたします。
(ADVENTISTMISSION.ORG)
2025年3期アドベンチスト・ミッション
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