5歳のタミルは、退屈していました。モンゴルのセブンスデー・アドベンチストの学校で、お母さんが仕事を終えるのを待っていました。お母さんは、会計士という仕事を学校でしていました。学校の幼稚園に通っていたタミルは、幼稚園が終わると、学校に来て、お母さんを待っていたのです。
「ママ、スマホ貸して」と、タミルが言うと、
お母さんはスマホを渡してくれました。タミルは、ウェーブのかかった白い髪に、赤いジャケットを着た男性に目を留めました。
「ママ、これは誰?」と聞くと、
「モーツァルトよ」と、お母さんは教えてくれました。
「へ?!ハンサムだね!」というタミルに
お母さんはにっこり微笑みながらアプリを開き、オーストリアの有名な作曲家、モーツァルトの曲の「再生」ボタンを押しました。バイオリンとピアノの音色にタミルは目を丸くしました。美しかったのです! 幸せのチョウが飛んできたようでした。
それからタミルは音楽のことが頭から離れませんでした。2日後、お父さんとお母さんにバイオリンとピアノを習いたいと言いました。お父さんは首を振って、「音楽教室に通うお金はないよ…」と、言いました。
タミルの目に涙が浮かびました。バイオリンとピアノを弾いてみたかったのです。タミルはあきらめませんでした。翌年も、その次の年も、毎年お願いし続けました。
13歳の時、お父さんとお母さんはついに、「明日、バイオリンのレッスンに連れて行ってあげるよ」と言いました。お母さんの友人にバイオリンの先生がいたのです。
タミルはとても喜びました! 幸せのチョウが飛んできたようでした。タミルは嬉しくて、友だちに話しました。
バイオリンを弾くことも、音符を覚えることも大変でした。友だちと一緒に弾く時はたくさんの練習が必要でした。しかし、気にしません。いつか練習は報われ、幸せのチョウは飛んで来るからです。
1年後、タミルは、教会で特別讃美歌の演奏を頼まれました。お母さんはとても喜びました! 安息日の朝、彼女は嬉しそうに言いました。「私の息子が今日バイオリンで賛美するの」
しかし、タミルは嬉しくありませんでした。手にも首や顔にも汗をかき始めました。みんなの前で演奏するのが怖くなったのです。彼は思いました。「もう嫌だ! バイオリンは弾きたくない。家に帰りたい」
緊張しているタミルに、お父さんが、言いました。「心配しないで。イエス様が助けてくださるよ」
お父さんの言うとおりだ。何故最初から思い付かなかったのだろう、とタミルは静かにお祈りしました。「神様、演奏する時、人が怖くなりませんように。どうか僕を祝福してください」
タミルはたくさんの人の前で演奏しましたが、もう怖くはありませんでした。顔にも、首にも、手にも汗をかいていません。幸せのチョウが飛んできたようです。最高の気分でした! 演奏が終わると、みんな、とても喜んでくれました。
タミルは、神様が助けてくださったのだと知りました。
良い演奏をするためには、タミルは、毎日練習し、毎日祈る必要があります。彼は、モンゴルと神様を代表する演奏者になり、幸せのチョウが心の中を舞うように、いつも喜んでいたいと思っています。
モンゴルのウランバートルにあるタスガル学校で勉強し、バイオリを習うタミルが、神様の良き代表者となれるように、お祈りください。前回の13回献金の一部はこの学校の新しい教室と図書館を作るために用いられました。今期の13回献金は、神様について学ぶことができる、子どものためのレクリエーションセンターを開設するために役立てられます。
2025年1期アドベンチスト・ミッション
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