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第8課 荒海から天の雲へ 松枝 重則
1.安息日午後:今週のテーマ
今週はダニエル書7章の学びです。
ダニエル2章のネブカドネツァルの夢では、バビロン以降の権力の移り変わりを見ました。
ダニエル7章では、世の終わりにどの国が世界で一番強い国になるか、更に詳しく見ます。
ダニエル7章の特徴:
- 天地創造を思い出させるような、闇や水が出て来ます。闇や水は天地創造を思い出させますが、何かよくないことが起こりそうな雰囲気です。
- ダニエルが見た幻は合体した怪獣のような生き物でした。このような怪獣は神様が天地創造によって作られた動物を遺伝子操作で変えてしまったかのようです。これは天地創造の神への攻撃のようにも感じます。
- ダニエル7章の獣は世界を支配していたように説明されています。聖書によれば、この世界はアダムとエバに与えられた世界でした。しかしダニエル7章では、今は人間ではなく、汚れた動物がこの世を支配していると言っています。
- 獣が世界を支配する世の中になってしまった後、神はもう一度、人間に支配する力を与えられると約束されて終わっています。
今週はダニエル書7章の幻を通して世の終わりの預言を学びます。
2.日曜日:4頭の獣
ダニエル7章の幻で登場する獣を理解する為には、ダニエル2章の像を思い出すとわかりやすいです。
ダニエル2章の像の各部分(頭、胸、腰、足)の情報とダニエル7章の4匹の獣(獅子、熊、豹、ものすごく恐ろしい獣)の情報を比べると、7章の獣の情報の方が多いです。神様は少しずつ情報量を加えることで私たちを正しい真理へ、正しい理解へと導いでくださっています。
ダニエル7章の4匹の獣の特徴を見てみましょう:
獅子:バビロンは翼を持った獅子の壁画で有名です。幻の中で獅子は翼を抜かれて人間の心が与えられました。
- 人間の心とは、「ネブカドネツァル王の悔い改め」とも考えられます。
熊:熊はメディアとペルシアの王国を表しています。
- ダニエル7章5節、新共同訳の「横ざまに寝て」は、口語訳で「からだの一方をあげ」と書かれています。これはペルシアがメディアよりも力があった事を表しています。
- 口にくわえた3本の肋骨は、メディアとペルシアが協力して倒した主要な国の名前です。
・メディアとペルシアの倒した国:リディア、バビロン、エジプト
豹:足の速い豹は、アレクサンダー大王で有名なギリシア帝国を表しています。
・四つの翼はギリシアのアレクサンダー大王が、その当時の世界を大変早く征服して行った事を表しています。
ものすごく、恐ろしい獣:
・この獣は、ダニエル7章のはじめの3匹の獣とは異なる点が沢山あります。
・この獣は、鉄を用いてヨーロッパの広い地域を征服したローマ帝国を表しています。
3.月曜日: 小さな角
ダニエル7章7、8、19~25節を読んでみましょう。小さい角とは何を表しているでしょうか。
小さい角はダニエル7章にある4匹目の「ものすごく、恐ろしい獣」の頭から生えてきました。
「ものすごく、恐ろしい獣」には元々10本の角が生えていましたが、小さな角が生えてきたために、10本の角の内、3本は引き抜かれてしまいました。つまり、小さい角は「ものすごく、恐ろしい獣」である「ローマ帝国」の中から出てくる権力だということです。
「小さな角」を理解する為の重要な聖句がダニエル7章25節です。
ダニエル7章25節は「小さい角」の違法な行いを3つ教えています。
- 神に敵対する発言をする
- 聖者(真のクリスチャン)を迫害する
- 時と律法を変えようとする
ダニエル7章25節の最後には「小さい角」が聖者を迫害する期間が「ひと時と、ふた時と、半時の間」(口語訳)だと言っています。このような預言の時が出て来た場合、「1日=1年の原則」にしたがって、「ひと時と、ふた時と、半時の間」=「1260年」であると理解します。
1260年間、「小さい角」は神に対して攻撃を始め、聖者を迫害し、神の時に関する律法を変えようとするのです。
4.火曜日:裁判が開かれる
ダニエル7章で「小さい角」について書かれた後、次に書かれているのが裁判です(ダニエル7章9、10、13、14)。
「その前から火の川が流れ出ていた。幾千人が御前に仕え/幾万人が御前に立った。裁き主は席に着き/巻物が繰り広げられた。」ダニエル7:10。
ここで大切なのが順番です。順番は下記のようになっています。
- 小さい角(西暦538年〜1798年)
- 天の裁き
- 神の永遠の王国
再臨の前に裁きが絶対必要なのです。再臨前の裁きは「聖者ら」の無実が証明される裁きです。ですから再臨前の裁きに入れて頂くことこそが祝福であり、私たちの日々祈り求めることなのです。再臨前の裁きについて具体的なことはダニエル8、9章で学びます。
5.水曜日:人の子の到来
ダニエル7章13節の「人の子」とは誰のことでしょうか。
- 「夜の幻をなお見ていると、見よ、『人の子』のような者が天の雲に乗り『日の老いたる者』の前に来て、そのもとに進み」ダニエル7章13節
・「人の子」は天の「日の老いたる者」の前に来ることができます。
- 人の子は「権威、威光、王権を受けた。諸国、諸族、諸言語の民は皆、彼に仕え彼の支配はとこしえに続きその統治は滅びることがない。」ダニエル7章14節
・「人の子」は永遠に続く天国の王になります。
・「小さな角」(教皇制)はこの世で神のように振る舞い、自分を礼拝させようと企みます。
・しかし最後には、「人の子」であるイエス様が全ての人に礼拝されるのです。
6.木曜日:いと高き者の聖徒ら
ダニエル7章18、21、22、25、27節で神の民にどのようなことが起こりますか。
「いと高き者の聖者ら」とは、神から与えられた呼び名です。「聖者ら」はローマ帝国時代に迫害を受けたように、「小さい角」からも迫害を受けます。「聖者ら」は神の言葉に忠実であるために教皇が支配する時代でも、いつの時代でも迫害を受けるのです。
しかし、「聖者ら」が永遠に迫害を受けるとは書かれていません。最後には必ず神の国がやってきます。
「人の子」(ダニエル7:13)であるイエス様が王になられる時が来ます。「聖者ら」(ダニエル7:18)が王になるとも書かれています。つまり、「人の子」であるイエス様と「聖者ら」は、最終的には、共に天の王となり、共に宇宙を治める時が必ず来る、と約束されています。迫害は必ず終わりが来ます。しかし神の国は永遠に続くのです。
7.金曜日:さらなる研究
歴史によれば、ゲルマン人によってローマ帝国は内部分裂を起こし崩壊してしまいました。
ローマ帝国が分裂した後、3つのゲルマン部族が崩壊します。
ローマ司教は、この3つのゲルマン部族の崩壊を利用して、ローマでの自分の力を高めていきました。
ローマ司教は、自分の力を高める為に、ローマ帝国時代の決まりや政治のやり方を自分の国に取り入れました。
このローマ司教の働きからローマ・カトリックが誕生(西暦538年)しました。教皇は1798年にナポレオンによって辞めさせられるまで、政治的にも宗教的にもヨーロッパ全土を支配していました。ナポレオンによってローマ・カトリックの迫害は静まりましたが、迫害は一時的に終わっただけです。
教皇は聖書に反する沢山の教えを広めました。聖書に反する教えとは、「教皇は神の代理人だと主張」、「煉獄」、「安息日を日曜日へ変更」など、沢山あります。これらの聖書に反する教えは、ダニエル7:25に預言された「時と法」の変更のほんの一部です。
質問(学びの振り返り):
「小さな角」(ダニエル7:8、20~22、24~26)による迫害をもう一度見直しましょう。
ローマ帝国の次にヨーロッパ全土を支配した権力は1つしかありません。
- ダニエル7:11に、「その(裁きの)間にもこの(小さな)角は尊大なことを語り続け」ました。「小さな角」は天で裁きが行われている間、再臨前まで、神様を汚すような言葉を語り、「聖者ら」の迫害を続ける、と預言されています。今は迫害がないかもしれませんが、必ず最後には迫害が来ることが預言されています。
・神様はダニエル7章を通して私たちに何を願われているのでしょうか。
・ダニエル7章の真理を通して、私たちはどのようにして神様と協力することができるでしょうか。
・ダニエル7章を通して個人的に示された神様の御心をグループでシェアしてください。