安息日学校部

第10課 青年用 浦島靖成

2022年第4期「永遠の命」

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第10課   地獄の火   浦島靖成

 

今週のポイント

  1. イタリアの詩人ダンテが著した『神曲』は架空の話ですが、中世のキリスト教神学に大きな影響を及ぼしました。人間が死んだ後、天国・地獄・煉獄のどこかに行くという、今もカトリック教会で教えられていることの根拠はダンテの著作に書かれていることであって、全く聖書的なものではありません。
  2. イエスさまは「地獄では蛆が尽きることも消えることもない」と言われました(マルコによる福音書9章48節)。これはまるで、救われなかった者に対しては、永遠に苦しみ続ける刑罰が与えられると言われているかのようです。しかしここでのイエスさまの強調点は、片手あるいは片足の価値とは比べものにならないほど天国はすばらしい場所であるということです。その対極にある「滅び」について、「地獄では蛆が尽きることも消えることもない」と言われているのであって、これは「完全な滅亡」の表現です。
  3. ソドムとゴモラは「永遠の火の刑罰を受け」た(ユダの手紙7節)と書かれていますが、これも悪人に対する永遠の苦しみを表しているのではなく、ソドムとゴモラが天からの火によって完全に焼き尽くされたことを表しています。
  4. もし悪人が永遠に苦しまねばならないとするなら、悪が永遠にこの世界から消滅しないということになります。しかし聖書は、神さまが必ず、悪が完全になくなる世界をもたらしてくださることを明らかにしています。
  5. コヘレトの言葉9章10節には「いつかは行かなければならないあの陰府には/仕事も企ても、知恵も知識も、もうないのだ」と書かれていて、人間がこの地上での歩みを終えた後、意識を保って何かをするということはないことが分かります。ですので、死んだ後にもまだ悔い改める「セカンドチャンス」があるということにはなりません。
  6. カトリック教会では、煉獄にいる人たちの救いのために、地上にいる人たちができることがあると教えます。それで、死者のために祈ったりさまざまな儀式をしたりしますが、エゼキエル書18章20節に「正しい人の正しさはその人だけのものであり、悪人の悪もその人だけのものである」とあるとおり、私たち罪人が、他人の罪を贖うことは決してできません。私たちの救い主はイエス様だけなのです。

 

  • ディスカッションのためのテーマ
    1. キリスト教神学が、たやすく外部の教えに影響されてしまう歴史的事実から、何を学ぶことができますか。
    2. もしあなたが死後すぐに天国に行って、その後の地上の様子を天から眺められるとしたら、一番見てみたいと思うのは、どのようなことでしょうか。それを見てどのような気持ちになると思いますか。想像してみてください。