神様からの福音のメッセージである悔い改めについて、マタイによる福音書4章17節で明らかにされています。悔い改めとは、自分が良い人間であろうが、苦しんでいる状況であろうが、罪の指し示す生き方から方向転換して、キリストの指し示す道を行くことです。黙示録にも、私たちを悔い改めに招いている言葉があります。
「また、別の第二の天使が続いて来て、こう言った。『倒れた。大バビロンが倒れた。怒りを招くみだらな行いのぶどう酒を、諸国の民に飲ませたこの都が』」(ヨハネの黙示録14章8節)。
ここに出てくる「倒れた」とは、打ち倒されるなどの意味があります。何が打ち倒されたのかというと、大バビロンが打ち倒されたのです。この言葉は過去形で書かれています。これから起こることを過去形で書くことで、確実性と切迫感を表しているのです。
大バビロンとは
大バビロンとは何でしょうか。ただの古代の都市でしょうか。だとしたら、「私たちに関係のないメッセージなのでは」と思うかもしれません。
黙示録のほとんどは、旧約聖書からの引用となっています。14章8節も、イザヤ書から引用されている箇所です。「倒れた、倒れた、バビロンが。神々の像はすべて砕かれ、地に落ちた」(イザヤ書21章9節)。この箇所は、バビロンに対する神の宣告の場面です。神は、これから始まるバビロン捕囚とバビロンの高慢さに関して、この国が一時の間栄えた後に必ず倒れることを宣告しています。
イザヤ書13~30章の中には、バビロン、ペリシテ、モアブ、エジプトなど、多くの国々に対して宣告をする神の姿があります。イザヤ書以外にも、エレミヤ書51章6~8節でバビロンに対する宣告があります。
このバビロンの精神を理解するにあたって、聖書に書かれている3つの存在から学ぶことができます。ルシファー、ネブカドネツァル、そして創世記に出てくるバベルの塔を建てた人々です。
1、ルシファー
「ああ、お前は天から落ちた/明けの明星、曙の子よ。お前は地に投げ落とされた/もろもろの国を倒した者よ。かつて、お前は心に思った。『わたしは天に上り/王座を神の星よりも高く据え/神々の集う北の果ての山に座し/雲の頂に登って/いと高き者のようになろう』と。しかし、お前は陰府に落とされた/墓穴の底に」(イザヤ書14章12~15節)。
2、ネブカドネツァル
「なんとバビロンは偉大ではないか。これこそ、このわたしが都として建て、わたしの権力の偉大さ、わたしの威光の尊さを示すものだ」(ダニエル書4章27節)。
3、バベルの塔の人々
「彼らは、『さあ、天まで届く塔のある町を建て、有名になろう。そして、全地に散らされることのないようにしよう』と言った」(創世記11章4節)。
「バベルの人々は、神から独立した政府を設立しようと考えていた。……それは、自己賞揚の王国であって、神には主権も栄誉も与えられないところである。……人々は、同じ道をたどり続けて、自己に頼り、神の律法を拒否している」(『人類のあけぼの』上巻、118、119ページ)。
これらの中心には、自己という王国、王権が存在します。自分を高め、自分を崇拝する思いから、「わたしは」「わたしの」という言葉が繰り返し出てくるのです。
創世記11章4節のバベルの精神には、自分を高めようとする高慢な思いと、「もう二度と洪水で人を滅ぼすことはしない」と約束した神に対する不信の思いがあります。また、ルシファーには、「王座を神の星よりも高く据え、……いと高き者のようになろう」とする高慢な野心的思いがあります。
私たちの最優先事項
モーリス・ベンデンという牧師がこのように言っていました。
「わたしたちが、この、自分に頼る宗教〔すなわち、バビロン的宗教〕のえじきになっていないかどうかを知る、一番よい方法は、日ごとの、神様との交わりに、どれだけ多くの時間を費やし、どれだけ真剣に心を注いでいるのかを見ればいいのです」
私たちの生活の中で、神は優先事項の1つでしかなく、最優先事項は、自分の生活、自分の判断、自分の考えになっていませんか。神よりも自分の判断を優先してしまう。それが私の生き方でした。
三天使のメッセージでは、「天地創造の神を礼拝せよ」と最初に述べています。そして第二天使が、私たちすべての人間の中にあるバビロンが必ず倒れることを宣告しています。その自分という王権、王国が倒れ、自分を支えるものが何もなくなってしまったとき、代わりにアイデンティティーとなるのは、私たちを造り、みかたちに似せて造ってくださった創造主のみだと教えてくれています。
悔い改めとは、罪を悲しむことと罪を離れることを含みます。人は、罪の恐ろしさを知るまで、罪を捨てることがありません。心の中でまったく罪から離れなければ、生活に本当の変化は起こらないのです。私たちは今、悔い改めなければいけません。ともに悔い改めましょう。
※聖句は口語訳を使用
松田 健/まつだけん
東京都出身、40歳。
フィリピンのAIIASを卒業後、東京中央教会、世田谷教会、四ッ谷教会、宮崎教会、都城集会所、隼人教会、沖縄三育中学校、金武集会所、八重岳集会所、天沼教会で牧会。現在は、函館教会、苫小牧集会所、静内聖書研究会を兼牧。中国人の妻と男の子3人の5人家族。現在、アキレス腱断裂中。
アドベンチスト・ライフ2023年7月号