北アジア太平洋支部(NSD)が大きく変わろうとしています。パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、ネパールのNSDへの加入が10月に世界総会年次理事会で決議、11月に支部年次理事会で追認されたのです。
4か国の中で日本より人口が多い国が、パキスタンとバングラデシュです。それぞれ2億4000万以上、1億7000万以上の人口があります。どちらも人口の90パーセント以上がイスラム教徒です。この2か国の加入により、NSD地域総人口の半分以上がイスラム教徒となりました。今までイスラム教徒が非常に少ない支部でしたが、大きくその性質が変わりました。
時を同じくしてパレスチナの地で起こった惨劇と憎しみの連鎖が止まりません。私たちがイスラム教を正しく理解する必要はますます高まっています。
そのような中、ロンドンにあるアドベンチストイスラム宣教センター所長ペドラス博士が、支部の年次理事会で興味深い講演をしてくれました。コーランの中に、イエスが最後の審判の前に再臨することと、イエスが終末において大きな役割を果たすことを預言しているというのは驚きでした。彼によれば、クリスチャンがキリストの再臨を信じている割合よりも、イスラム教徒が再臨を信じている割合のほうが高いというのです。さらに、終わりの時代にキリスト教徒の中に正しい信仰を持ち続ける者がいるというコーランの記述は、セブンスデー・アドベンチストのことだと解釈できるといいます。
アドベンチストが酒を飲まず、豚を食べないことを知ったイスラム教徒は、我々に一定の尊敬を払います。一方、ユダヤ教徒も安息日を守るゆえにアドベンチストを評価します。このことは、私たちが終わりの時代に大きな役割を果たすようになることを示唆しています。
イサクの子たちとイシュマエルの子たちがいつの日か一つになる。その架け橋になるのはすばらしいことです。何か遠い未来の話のように思われますか。宗教の枠を超えて残りの民が一つにされ、可視化されるのは、まだ先かもしれません。でも、日本でも異文化にルーツを持つ人は増えています。皆さんの教会でも、そのような人たちがいるのではないでしょうか。
三天使のメッセージ、永遠の福音は、「地上に住む人々、あらゆる国民、種族、言葉の違う民、民族に告げ知ら」されるのです(ヨハネの黙示録14章6節)。このメッセージ自体に国、民族、言語、文化の壁を乗り越える力があります。そしてそれは、あなたの教会でも起こっているのです。
*聖句は©️日本聖書協会
アドベンチスト・ライフ2023年12月号
教団総理 稲田 豊