7月3日から12日までの10日間、第62回セブンスデー・アドベンチスト教会世界総会がミズーリ州セントルイスで開催されています。この原稿はそこで書かれています。前回第61回総会も、同じセントルイスで3年前に開かれました。1970年以降、世界総会は5年ごとに開催されてきましたが、コロナによるパンデミックの影響で2020年の総会が2年延期され、変則的に2022年の開催となったためです。今回の総会で、再び5年周期のサイクルに戻ることになります。
前回はコロナ禍での開催ということもあり、展示ブースはバーチャルなオンラインサイトのみでしたが、今回は完全な対面形式で広大なホールで復活しています。
セントルイスでの世界総会は、今回で3回目の開催となります。最初の開催は2005年でした。黒人教会が多いエリアであるためか、当時の総会ではアメリカの黒人教会音楽が多く演奏された印象があります。世界総会で初の女性副総理と女性副総務が選出されたのもこの時でした。しかも、そのお二方ともアメリカの黒人女性であったことは、アメリカのアドベンチスト教会において、もはや白人と白人教会だけでなく、黒人と黒人教会が主流となりつつあることを強く印象付けました。その後の世界総会では、ブラジルをはじめとする他の地域の出身者が、さらに多く世界教会のトップリーダーシップチームに加わることになります。
当時の推薦委員会の一人であったアメリカの白人女性の発言が、今でも私の心に深く刻まれています。「私の若い頃、私の地域では教会の中にも黒人への差別がありました。それを克服するのに40年かかりました。今、私たちは女性への差別という壁を乗り越えなければならないのではないでしょうか」。この発言は、推薦委員会が女性をリーダーシップチームに加える提案をまとめる上で、大きな影響を与えたと私は考えています。
現代社会は、さまざまな壁によって分断されつつあります。教会の中にも、残念ながら壁が存在します。しかし、私たちが神から呼びかけられているのは、その壁を強化することではなく、乗り越えることです。私たちセブンスデー・アドベンストは、あらゆる国民、種族、言葉の違う民、民族が、すべての壁を乗り越え、すべてのものの源である創造主のもとに立ち返るようにとの使信を託されているのです。
「わたしはまた、別の天使が空高く飛ぶのを見た。この天使は、地上に住む人々、あらゆる国民、種族、言葉の違う民、民族に告げ知らせるために、永遠の福音を携えて来て、大声で言った。『神を畏れ、その栄光をたたえなさい。神の裁きの時が来たからである。天と地、海と水の源を創造した方を礼拝しなさい』」(ヨハネの黙示録14章6、7節)
*聖句は©️日本聖書協会
アドベンチスト・ライフ2025年8月号
教団総理 稲田豊