セブンスデー・アドベンチスト教会

世界教会の強み

世界教会の強み

今、この草稿を書いている時点で、ロシアがウクライナに侵攻してから1週間になります。この災厄に巻き込まれ、家を追われた人々、前線で戦わざるを得ない人々、家族を失った人々のために、私たちも祈りたいと思います。
この戦いとそれに続く人道危機が始まった直後から、アドラは対応しました。ウクライナ国内のアドラは戦闘に巻き込まれるのを避けるため、大規模な援助活動は難しい状況ですが、周辺国のアドラが難民支援にすぐに動きました。そのため、アドラジャパンはすでに現地で救援活動が始まっていることを初期の段階からレポートすることができました。
それがマスコミの注目を引きました。多数のマスコミがアドラジャパンを取り上げてくれました。その結果、多くの尊い寄付がアドラジャパンに寄せられたことは感謝です。今回はセブンスデー・アドベンチスト世界教会のネットワークの強みが遺憾なく発揮されたといえます。アドラジャパンがいち早く現地の援助活動のレポートを自身のホームページや取材に来たマスコミに提供することができた大きな理由が、セブンスデー・アドベンチストが世界教会であったことです。
アドラそのものがすでにアドベンチスト教会のネットワークをもとに始まり、拡大発展してきました。アドラのネットワークを、すでにアドベンチストの情報網があるところに張り巡らせることができたのです。災害などの有事の際にはアドベンチストネットワークによって、急遽ボランティアを動員することが可能です。今回のウクライナ危機への素早い対応は、この世界教会としての資産が大きくものを言ったといえましょう。
今までも、日本のアドベンチスト教会と諸機関は、この世界教会の援助を受けてきました。パウロはローマの教会に、エルサレムの教会に対してあなたがたは借りがあるのだと、次のように述べています。

「たしかに、彼らは賛成した。しかし同時に、彼らはかの人々に負債がある。というのは、もし異邦人が彼らの霊の物にあずかったとすれば、肉の物をもって彼らに仕えるのは、当然だからである」(ローマ人への手紙15章27節、口語訳)。

これは愛の負債といえましょう。私たちは世界教会に対して負債があります。本来ミッションがカンファレンスになるのは、返済段階に入ったことを意味します。これからは世界教会から恩恵を受けるよりも、むしろ貢献する教会になるということです。改善点はあるかもしれませんが、アドベンチスト世界教会は預言の霊の導きを通して与えられた神からの賜物です。私たちは教会単立主義や教会一国独立主義に与するべきではありません。

*聖句は©️日本聖書協会

アドベンチスト・ライフ
2022年4月号
教団総理 稲田 豊