セブンスデー・アドベンチスト教会

ローマ字でしたら分かります

ローマ字でしたら分かります

ミッション・スピリッツ

「ただ、聖霊があなたがたにくだる時、あなたがたは力を受けて、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、さらに地のはてまで、わたしの証人となるであろう」 (使徒行伝1章8節)。

日本で生活する多くの外国人にとって、ローマ字表記はとても大切です。特に、案内標識を見て移動するときは、大きな役割を果たします。しかし、どこに向かっているか分かっていて、案内標識の意味も理解できていたとしても、迷子になることはあります。ですので、案内標識の意味が分からず、どちらの道を選べばよいのか分からないとき、目的地に到着することはほぼ不可能です。そうならないために、日本では道路の案内標識にローマ字を併記することが原則となっています。*1「ローマ字でしたら分かります」。これが日本に住む296万1969人の外国人たちの現実です。*2
ローマ字表記にはいくつかの方式がありますが、その中でも主流なのはヘボン式です。ジェームス・カーティス・ヘボンが作った和英辞典によって広められたので、その名前がつけられました。
ヘボンは医療伝道の宣教師として幕末に来日し、さまざまな分野で活躍しました。日本語と日本文化のルーツを勉強し、日本におけるキリスト教伝道と聖書翻訳のために熱心に働いたのです。*3彼の目的は、日本に住んでいる人々に神のメッセージを伝えることでしたが、彼の努力は日本の福音宣教だけでなく、日本社会にとって価値あるものとなりました。

イエスは昇天される前、救いのメッセージを広めるという使命を弟子たちにお与えになりました。彼らは聖霊の力を受け、あらゆる国民、部族、国語、民族に永遠の福音を宣べ伝えたのです。それは簡単な任務ではなく、多くの試練と困難を伴いましたが、彼らは聖霊の導きを信じていました。
今日、多くの人が神の使命に参加し、大きな挑戦の中にあります。地球上に存在するすべての言語と文化において、福音が理解されるようになるための挑戦です。現在の伝道も簡単ではありませんが、人々を愛し、福音を宣べ伝える聖なる働きを、聖霊が導いておられます。

ウィズ・アス

「キリストは、神のかたちであられたが、神と等しくあることを固守すべき事とは思わず、かえって、おのれをむなしうして僕のかたちをとり、人間の姿になられた。その有様は人と異ならず、おのれを低くして、死に至るまで、しかも十字架の死に至るまで従順であられた」(ピリピ人への手紙2章6~8節)。

イエスは私たちと同じ人間になり、神の愛のメッセージを効果的に伝えることの重要性を教えてくださいました。この世界にいたとき、ナザレのイエスが当時の人々の言葉を話し、彼らと一緒に食事をし、喜ぶ者と一緒に喜び、泣く者と一緒に泣きました。そして、彼らの中にいることで、天国の使命を果たすためには、救いの計画を立てられた父なる神と常につながって、愛を求め、その計画に謙虚に服従したことが、イエスの成功の鍵だったのです。
謙虚さは、信徒が宣教師になるためにイエスの福音を通して神から与えられる贈り物です。神と私たちの正しい関係の模範は、イエスの生涯と父なる神への服従に完全に示されています。またイエスの生涯には、人間同士の関係の模範も示されています。神の子は弟子たちにこのように教えました。
「あなたがたの間でかしらになりたいと思う者は、僕とならねばならない。それは、人の子がきたのも、仕えられるためではなく、仕えるためであり、また多くの人のあがないとして、自分の命を与えるためであるのと、ちょうど同じである」(マタイによる福音書20章27、28節)。

「伝道すること」と「謙虚になること」。この二つを分離すると神の任務を実行することがとても困難です。イエスはその姿を通して、私たちの霊的な旅が成功するための進むべき道を教えてくださいました。

ウィー・アー

イエスは人類を助けるために、へりくだって私たちと同じ人間になられました。私たちも、まだ神を知らない人々のために、謙虚になり、彼らの生き方を理解することに努めながら、奉仕していく必要があります。世界中の伝道者は、イエスと同じ奉仕と謙遜の精神を持ち、キリストにある救いを宣べ伝える聖なる働きに生涯をささげています。伝道者はさまざまな文化や言語を研究し、人々のことを知り、神のメッセージを伝えているのです。
アドベンチストは、主の戒めを守り、イエスを信じています。世界の国々の多種多様な地域社会の中で、聖霊の導きによってイエス・キリストの愛と救いを知らせるために働いている民です。
世界には、職業も(教師、農家、看護師、医師、商売人、学生など)、住む地域も(ヨーロッパ、アジア、アフリカ、アメリカ、田舎や都市、海、山の近くなど)、話す言語も(日本語、中国語、ベトナム語、韓国語、英語、スペイン語、ポルトガル語など)異なるさまざまな人々がいます。神の使命が実行されるために、彼らに神の愛を通訳し、届ける人たちが必要なのです。すぐに、神の愛は、私たちを通して、すべての言語で、すべての人々によって理解されます。

「真の弟子はみな伝道者として神の国に生まれているのである。生ける水を飲む者はいのちの泉となる。受ける者が与える者となる」 +4

※聖句は口語訳を使用

[注]
1 国際化に対応する英語表記
https://www.skr.mlit.go.jp/road/hyousiki/h_annai/guidesign/english.html
2 法務省、令和4年6月末現在における在留外国人数について
https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00028.html
3 James Curtis Hepburn
https://bdcconline.net/en/stories/hepburn-james-curtis
4 『明日への希望』763頁

*聖句は©️日本聖書協会

大西ケン/おおにしけん

1991年、ブラジル・サンパウロ生まれ。2015年にUNASPの神学部を卒業後、ブラジル、アメリカ、日本で宣教師として活動。

家族と一緒にいる時間を大切にしている。また、芸術文化に興味を持っている。趣味は、人生の流れを熟考することや自転車に乗ること。

アドベンチスト・ライフ2023年4月号