「ボン ジーア」、ポルトガル語の「おはようございます」です。2月の後半、10日ほど今雪元氏先生と共にブラジルを訪問し、この言葉を覚えました。挨拶は、お互いの心を開く鍵、とても大切なコミュニケーションの基本です。この挨拶に、出会ったブラジルの方々が笑顔を返して下さいました。
今回の訪問は、ブラジル人をはじめとする日本での外国人伝道資金の支援を募るためでした。南アメリカ支部、中央ブラジル教団、南ブラジル教団、その他5つの教区、ノボテンポ(メディア・センター)、福音社を訪問いたしました。また、3つの日系人教会、ふたつのブラジル人教会も訪問しました。どの機関も日本の伝道に深い関心を示して下さいました。全日本18マラナ・タについても、南米支部のH・ケラー総理はじめ、よくご存じでした。日本での外国人伝道に対する支援も予想を超えて多額なものとなりそうです。
南ブラジル教団のM・ロペス総理は、8年前非公式に日本に来たことがあり、渋谷の竹下通りに案内されたそうです。その時、人形のような服装をしたたくさんの少女を見て驚きました。同時に彼は少女たちの心に空洞があるのが見えたそうです。日本人の霊的飢餓への深い洞察力に感じ入りました。
「神はすべての人の心にキリストでなければ埋めることのできない空洞を作られた」とはパスカルの言葉です。この心の空洞を埋めることのできる唯一のお方、キリストを私たちは日本に住む方々に伝えたいのです。それが全日本18マラナ・タの根本的な目的でもあります。そして、その日本伝道のための支援を地球の裏側のブラジルの方々がいま考えて下さっているのです。来年以降、大勢のブラジルの方々がミッション・トリップで来日されることでしょう。
ブラジルに住む日系人の方々に初めてお会いしました。戦後ブラジルに渡った1世たちの波乱万丈の証はまさにドラマです。雨が降っても風が吹いても聖書研究に訪ねてくる牧師の姿勢に心打たれてバプテスマに導かれた人、彼はバプテスマを受けたときから酒もタバコも受けつけない体に変えられました。ブラジルに渡る際に恩師から聖書を手渡され、長き求道生活の末の60年後、野崎金一先生の『最後の真の教会の特徴』にすべてを納得しアドベンチストになられた人、どの証も圧倒されるものでした。
2世、3世の多いサンパウロ日系人教会の教会員のほとんどは日本語を話しません。しかし、礼拝の賛美は日本語でした。ひらがなにポルトガル語の読み仮名をふって大きな声で賛美しておりました。特別賛美も比較的新しい賛美歌を日本語で賛美して下さいました。感動しました。いまこの日系人教会群に日本語を話す牧師がいません。今雪先生が宣教師として来日して以来とのこと、胸が痛みます。日本からも、有志を募ってぜひブラジルにミッション・トリップに行き、同胞のために奉仕し、信仰の喜びを分かち合いたいと思います。
教団総理 島田真澄 アドベンチスト・ライフ2018年4月号