キリストを知るという双方向の交わり
近年の世界情勢を見ておりますと、キリストが言われた終末の産みの苦しみが増し、私たちの最大の希望であるキリストとの再会の日が近づいているように感じています。その中で、私たちはどのように主の再臨を待ち望めばよいのでしょうか。
キリストの忠告に目を向けましょう。「永遠の命とは、唯一のまことの神であられるあなたと、あなたのお遣わしになったイエス・キリストを知ることです」(ヨハネによる福音書17章3節)。この「知る」という言葉は、一方通行の関係ではなく、双方向の関係を意味します。つまり、ここでキリストは永遠の命に向かって、あなたと双方向の関係を結びたいと招いておられるのです。
私たちが聖書を読むとき、キリストがどのようなお方であるのかがわかります。しかし、それだけでは一方通行です。双方向とは、聖書を読みながら、キリストが個人的に語りかける言葉に耳を澄ませて聞くことです。
キリストはヨハネによる福音書10章3、4節で次のように言われました。「羊飼いは自分の羊の名を呼んで連れ出す。自分の羊をすべて連れ出すと、先頭に立って行く。羊はその声を知っているので、ついて行く」。聖書の譬えでは、羊飼いはキリスト、羊は私たちです。ですから、この箇所は、「キリストはあなたの名を呼んで連れ出す。……あなたはキリストの声を知っているので、ついて行く」という意味です。
聖霊を通して語られる静かな内なる声
では、一体、私たちはどうしたらキリストの声を聞くことができるのでしょうか。イザヤ書50章4節後半から5節前半のみ言葉です。「朝ごとにわたしの耳を呼び覚まし/弟子として聞き従うようにしてくださる。主なる神はわたしの耳を開かれた」
キリストの声に耳を澄ます最適な時間は、誰からも邪魔をされない早朝です。キリストも同様な時間を父なる神と過ごされました。重要な点は、朝ごとに私たちを起こしてくださることも、キリストの声を聞くことができるのも、神の側で可能にしてくださるということです。決して私たちの努力ではないのです。
寝る前に次のような祈りを献げてみてください。「イエス様、私はあなたと会いたいのです。あなたの声を聞きたいのです。朝早く起こしてください」。み言葉による約束ですから、必ず起こしてくださいます。聖書を開くときには、「聖霊の神様、私の心を開き、キリストが語りかける声に耳を傾けることができるよう助けてください」と祈ってください。
そして、比較的短い箇所を繰り返し読み、この箇所からキリストは私に何を語りかけておられるだろうかと意識しながら精読してください。その際、私たちの心に響いてくる言葉、気づかされることが出てきます。これこそキリストがあなたに個人的に語りかけたい言葉なのです。キリストの声は、聖霊を通して語られる静かな細い内なる声です。その声を聞いたなら、示された言葉を日記に書き留めて実行に移してください。これが羊飼いに羊がついていくという意味です。
キリストを知るという双方向の交わりは夫婦関係と同じです。知れば知るほど、親しくなってきます。最初は敵であるサタンが邪魔をして、余計な声が聞こえることもあります。しかし、日々繰り返していくうちに、キリストとの関係性はより親密になっていきます。み言葉から、キリストの言葉が聞き取りやすくなります。決してあきらめず、祈り続けてください。交わりが深まれば深まるほど、日々、キリストが共におられる経験、キリストが生きて働いてくださる経験が増えてきます。
「おばあちゃん、神様を信じたね」
私の体験を一つご紹介します。私たち家族は、群馬県の老人ホームに入居している家内の祖母が救われることを願い、伝道しておりました。しかし、遠く離れていたので、時々しか会いに行けません。そのため、「イエス様、今日も祖母と出会ってください」と毎日祈り続けていました。しかし、ちょうど2年前、祖母が食事を摂れなくなり、点滴も難しくなり、後は眠りにつくのを待つだけの状況となりました。私たちは、「いつ祖母を訪問すれば良いのか教えてください。祖母を永遠の命に導きたいのです」と祈り続けました。
ある連休中の早朝でした。み言葉を読んでいるとき、「マリヤは立って、大急ぎで山里へ向かい」という言葉が私の心に響きました。私たちは翌日、教会のイベントが控えていましたので、連休後に群馬へ行く予定でしたが、急遽、その日に祖母に会いに行きました。
私は祖母の手を握り締め、家内と息子と一緒にお祈りをし、その後、天国の歌を賛美しました。歌のクライマックスにさしかかり、キリストが天国で両手を広げて待っておられるという場面を歌っていたとき、不思議なことが起こりました。握っていた祖母の手が急に力強く動き出し、なんと私の手を持ち上げ、天に向けて腕を伸ばしたのです。その姿を見た6歳の息子が、「おばあちゃん、神様を信じたね」と言いました。
その後、私たちが日帰りで自宅に戻った直後、家内の実家から祖母が少し前に息を引き取ったという電話がありました。私たち家族は、祖母と最高のお別れができたことを神に感謝しました。
現在はコロナ禍です。休会中の教会も多いのではないでしょうか。開いていたとしても、教会で一番大切な交わりは制限されています。しかし、キリストとの交わりは制限されません。キリストは今日もあなたに個人的に語りかけてくださいます。もう少ししたら、キリストは私たちを迎えに来られます。その日まで、キリストと双方向の深い交わりを持ちたいと思いませんか。
※キリストの声に耳を傾ける方法を詳しく知りたい方は、福音社発行の『みことば日光浴』『神の臨在を実感すること、神の声を聞くこと』を、ぜひお読みください。
*聖句は©️日本聖書協会
金城博明/きんじょうひろあき
今年の4月、9年間牧会した東京の金町教会(足立、四ツ谷教会を兼牧)から仙台教会(青森南教会、一関聖書研究会を兼牧)に異動。現在の趣味は、仙台と青森の、片道350キロの長距離ドライブをしながら、家族と共に東北の大自然を満喫すること。
アドベンチスト・ライフ2021年10月号