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第3課 変化への備え 寺内 三一
1.安息日午後
人生は変化します。いつまでも同じではなく変化して成長をすることが喜びになります。しかし、病気や老いや死などの苦しいことへの変化もあります。人生の変化の喜びをさらに大きくするのも、変化の苦しみを少しでも少なくするためにも、備えが大切です。
「備えあれば憂いなし」と将来のことを考えて準備する人は、幸せな人生を過ごせます。しかし「泥棒を捕えてから縄をなう」人、「馬を盗まれてから馬小屋に錠をする」人は、手遅れになってしまい、本人も周りの人も幸せな人生を送ることが出来ません。人生の大切な出来事である~就職や結婚~親としての子育て~誰にも必ずやって来る老いや死~に備えることは本当に大切です。そして、イエス様の再臨と天国への霊的な備えはさらに大切です。
「ありは力のない種類だが、その食糧を夏のうちに備える。」(箴言30:25 口語訳)。ありはやがてやって来る食糧が少なくなる冬のために(将来のために)賢く夏のうちに備えるのです。
ありに将来の備えをさせる神様は、私たち人間には、なおさら知恵と知識を与えて下さり、多くの助言者を与えて下さり、何よりも聖書の言葉と神様への祈りによる導きを与えて下さっています。
イエス様は、世の終わりのしるしと再臨の希望を語られてから「あなたがたも用意していなさい」(マタイ福音書24:44)と将来に備えて賢く生きるようにと言われています。
今週は、人生の変化が私たちの家庭生活に影響を与えることと、人生の変化に備えることの大切さを学びます。
2.日曜日:準備を怠る
聖書を初めて読んだ人が「聖書は本当に信頼できるものだと思う。なぜなら、人間の失敗がごまかさずにはっきりと書いてあるから」と言われました。人生には「二人の教師(先生)がいる」といわれます。良いことを教えてくれて、言葉も行いも素晴らしく、みならおうと模範にしたくなる教師(先生)のような人。また、悪い言葉と行いを見せて、「あの人のようにないようにしよう」という失敗の教訓を与えてくれる「反面教師」です。
聖書には3種類の人が記されていると思います。第1に、困ってから(失敗してから)神様に祈り、悔い改める人。第2に、困る前に、失敗しないように(困らないために)神様に祈り祝福を受ける人。そして、困っても(失敗しても)悔い改めない人~神様に祈らない人、滅びる人です。
聖書には、人間の失敗がこれでもかという程書かれています。他の人の失敗を自分のことのように思い教訓として生きる人は、聖書を人生の大切な助言者として受け入れ祝福される人です。イエスの弟子のペテロの失敗を自分の失敗のようだと思って「私はもう一人のペテロだ~私もペテロのように悔い改めて、再び祈り、神様を信頼して再スタートしよう」と信仰生活を歩む人には、神様の祝福が与えられるのではないでしょうか。
3.月曜日:結婚に備える
結婚生活は神が制定されたもので、「神の愛が現わされる結婚生活は“天国”のようになり、サタンの誘惑に負ける結婚生活は“墓場”となる」と言われます。私たちも、アダムとエバの最初の結婚を導いて下さった神に従うことが今も祝福された結婚生活を送る上で大切なことです。
祝福される結婚の条件は「男は、父母を離れ女と結ばれ、二人は一体となる」とあります。「父母を離れ」とは、精神的、経済的、信仰的に親から自立して“大人”となることです。まだ大人になっていない子供同士の結婚は“おままごと”になってしまいます。信仰的に自立するとは、言われなくても自分一人でも聖書を読み学び、祈り、献金し、教会に出席すること(信仰の自炊)です。
エフェソの手紙(5:21から)に祝福される結婚(夫婦)とは「キリストに対する畏れをもって、互いに仕え合いなさい。妻たちよ、主に仕えるように自分の夫に仕えなさい。夫たちよ、キリストが教会を愛し、教会のためにご自分をお与えになったように、妻を愛しなさい。(二人は一体なので)妻を自分の体のように愛しなさい。妻は夫を(神を敬うように)敬いなさい。」とあります。
神様との関係が、人との関係にも現れます。それは、結婚生活に最も現れるのではないでしょうか。
問3に具体的にあるように、一生懸命に働く人、怒りやすい人(感情に流される人)ではない人、同じ信仰を持つ人(価値観の共通している人)、互いの家族の思いを理解している人、主に信頼し自分の分別には頼らない人(神様のみ心を第1にする人)。
私は、就職する時は、安息日を毎週守れる仕事を選びました。結婚する時は、まず信仰を持つ人と思って結婚しました(SDAの4代目の方でした)。神様に喜ばれる道を選び、その道に歩む時に神は約束の祝福を与えて下さるのではないでしょうか。
「主御自身が建てて下さるのでなければ/家を建てる人の労苦はむなしい。」(詩編127:1)とあります。「家(ハウス)は大工さんが木などで建てるが、家庭(ホーム)は、神の愛によって建てられる」と言われるように神に導かれ、神の愛を現す結婚生活、家庭生活を目指したいものです。
4.火曜日:子育てに備える
子供は夫婦、家族にとって宝となり家族の祝福ともなれば、重荷と悲しみにもなります。神様から賜った子供を、神様の愛と知恵で育てていく大切な責任が親にはあります。
多くの親が祈る「親の祈り」です。まず、親自身が魂の親である神に育てられることが大切です。
「神様、もっとよい私にして下さい。子供の言うことをよく聞いてやり、心の疑問に親切に答え、子供をよく理解する私にして下さい。理由なく子供の心を傷つけることのないようにお助け下さい。
子供の失敗を笑ったりせず、子供の小さい間違いには目を閉じて、良い所を見させて下さい。良い所を心からほめてやり、伸ばしてやることができますように。大人の判断や習慣で子供をしばることのないように、子供が自分で判断し、自分で正しく行動していけるように導く知恵をお与えください。感情的に叱るのではなく、正しく注意してやれますように。道理にかなった希望はできるだけかなえてやり、彼らのためにならないことはやめさせることができますように。どうぞ意地悪な気持ちを取り去って下さい。不平を言わないよう助けて下さい。こちらが間違った時にはきちんとあやまる勇気を与えて下さい。いつも穏やかな広い心をお与え下さい。子供といっしょに成長させて下さい。子供が心から私を尊敬し慕うことができるよう、子供の愛と信頼にふさわしい者として下さい。子供も私も神様によって生かされ愛されていることを知り、他の人々の祝福となることができますように。」
5.水曜日:老年に備える
私は18歳で聖書に出会い、20歳でバプテスマを受けました。バプテスマを受けるまでに何度もこの聖句を聞きました。「あなたの若い日に、あなたの造り主を覚えよ。悪しき日がきたり、年が寄って、『わたしにはなんの楽しみもない』と言うようにならない前に、」(伝道の書12:1 口語訳)。
平均寿命が延びている今は「人生百年時代」と言われます。私は現在62歳、あと3年で牧師の定年です。定年の65歳から男性の平均寿命の80歳まで15年。百歳とはいわずとも90歳では25年。老後は長いのです。
以前、男性は、定年後やる事がなく家でゴロゴロして「粗大ごみ」といわれました。老人ホームのチャプレン(施設の牧師)をしていた時に、ある老年の方が「何もすることがない。お迎えがなかなか来ない……。」と寂しそうな表情で言われたのを忘れることができません。肉体的にある程度元気でも、精神的な目標や生きがいがなければ、また霊的、信仰的に心と魂の満たしと天国の希望がなければ老後は空しくなります。病気や認知症、家族との交わりが不足すればなおのこと「わたしにはなんの楽しみもない」というだけではなく、心も体もつらく苦しい老後となります。ガイドにあるように、(一日でも)若い時に神と出会い、神を個人的に知り、イエス様に重荷を下ろし、神からの慰めと励ましと希望と力をいただくことなしに穏やかな老後は送れません。また、良き心と体の健康の習慣を持つと、心も体も老け込まないで若々しくいられます。そして、「神のために、人のために、そして自分のためにすべき使命がある」との思い(使命感)は大切です。年を重ねても体が動かなくても、祈ることはできます。葉書を書くことはできます。「助けて下さってありがとう、優しくされて嬉しい」と感謝と喜びをかかわる人に伝えて、周りを感謝と喜びの場所にすることが出来ます。感謝が身についた人、笑顔と喜びが周りにあふれる人となるために今から、「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい。」(テサロニケ第一、5:16~18)との御言葉を実践していきたいですね。
6.木曜日:死に備える
死を目前にした方が入院するホスピス病棟の医師として多くの方の死を看取られた、柏木哲夫医師は、「人は生きてきたように死んでいく。人に感謝しつつ生きてきた人は、感謝しながら死んでいきます。人をいたわって生きてきた人は、残される人をいたわりながら死んでいきます。周りに依存して生きてきた人は、医者や看護師、家族に依存しながら死んでいきます。その人の生きざまが、死にざまに反映するというのが患者さんから教えられた一番大きなことでした。『良き死を迎えるためには、良き生を生きなければならない』。これは私自身が学んだ最大のメッセージであるとともに、わたしの人生に対するチャレンジ(挑戦・問いかけ)でもありました。」と言われます。
今、人生の締めくくり方を考えるために「終活」という言葉が聞かれます。神を信じる者として、この世の人生の終わり方だけでなく、「死を迎える準備は、何もより再臨と天国の準備であること」を覚えたいと思います。いつ死を迎えるかは分かりません。いつ死を迎えても良いように、一日一日を大切にしていきたいと思います。死の最大の備えは、ガイドにあるとおり「信仰によってあなたが主と確実に結びつき、彼(イエス)の義によって一瞬一瞬覆われる以にない」のです。
具体的な終活は『キリスト教の終活・エンディングノート』(いのちのことば社)など多くのものが出版されています。
7.金曜日:さらなる研究
「悪いつきあいは、良い習慣を台なしにする」(コリント第1、15:33)。「人は、自分の蒔いたものを、また刈り取ることになるのです。自分の肉に蒔く者は、肉から滅びを刈り取り、霊に蒔く者は、霊から永遠の命を刈り取ります。……飽きずに励んでいれば、時が来て、実を刈り取る事になります。ですから、今、時のある間に、すべての人に対して、特に信仰によって家族になった人々に対して、善を行いましょう」(ガラテヤ6:7~9)。
私たちが、今の時を、召されたその場所で、「神を愛し、自分を愛し、隣人を愛する生活を~神を大切にし、自分を大切にし、隣人を大切にする生活」を、祈りつつ、励まし合いつつ、肉親の家族、教会の家族の兄弟姉妹と共に歩んで行きたいと思います。
8.話し合いのテーマ
- 徳川家康が天下を取れたのは、みじめに敗れた戦いを絵にして何度も見て教訓として忘れずに同じ失敗をしないようにしたからだと言われます。あなたの忘れてはいけない教訓は何ですか?
- あの人のようになりたい~あの夫婦、親子、家族、信者さんのようになりたいという目標、模範とする方から祝福の秘訣を聞いていますか?
- あなたが、結婚前の人に、子供を産む前の夫婦に、老いと死を前にした方に~伝えたい“助言・遺言?”はありますか? それを伝えていますか?