セブンスデー・アドベンチスト教会

信仰が無くならないように!

信仰が無くならないように!

やがて彼を裏切るペトロに、キリストはこう言われました。「シモン、シモン、サタンはあなたがたを、小麦のようにふるいにかけることを神に願って聞き入れられた。しかし、わたしはあなたのために、信仰が無くならないように祈った。だから、あなたは立ち直ったら、兄弟たちを力づけてやりなさい」(©︎日本聖書協会 ルカによる福音書22章31、32節)。神への信仰は、最初の人間アダムとエバから始めてすべての人類の究極のテーマです。そして、人間から神への信仰を奪い取ること、これがサタンの人類への最大の誘惑です。

神の民が、神のために教会のために人々の祝福と救いのためにと、祈りと信仰をもって始めた事業が思うように進展しないとき、私たちは信仰を失います。時には、これはまだ時期ではなかった、これは御心ではなかったと言い訳をし、窮状を合理化しながら信仰を失います。表面的には決して信仰を失ってはいないように見せながら、その実、神への信仰は確実に小さく弱くなっているのです。

そしてその信仰喪失の背後には、生きて働かれる神に必死に祈ることをしない、神の愛と力を信じて必死に働くことをせず不達成時の保険を掛ける不信仰がすでに潜んでいます。神は、神の導きを信じ、神と共にあることを選ばない神の民のために、働くことも祝福を与えることもありません。不信仰によってカナン侵攻を拒否したイスラエルは、40年の荒野彷徨という信仰回復の再訓練を受けなければなりませんでした。いつの時代も不信仰の神の民は、信仰の神の民へと創り変えられねばならないのです。

現在教団が抱えているいくつかの大型プロジェクトがあります。北浦三育中学校の移転、大学院の開設、教団新事務所、研修センターの建設。いくつかの経営的課題の中にある学校群、機関を抱えた上でのプロジェクトです。教団の人的資源、経済的実力を人間的に見れば、どれも無謀な計画のように見えます。しかし、教団理事会は信仰をもってこのプロジェクトを開始しました。

教団新事務所と研修センターの建築計画も、今後の日本伝道の必要と進展を見据えての信仰の計画です。今この時着手すべき神のみ旨と信じて、信徒の尊い遺贈を含めた手持ち資金をもってこの計画をスタートさせました。総予算4億3千万円、途中この予算ではとても建築不可能との挫折の危機もありましたが、予算内で可能との見通しも立ちました。不足の3億円近くの募金は大きな挑戦でしたが、日本の教会、教会員、そして米国の日本人、日系人が1億円を超える浄財を献げてくださいました。そしてさらに、研修センター建築の意図に賛同した北アジア太平洋支部と世界総会も多額の支援をしてくれることになったのです。祈って信じて訴えた神からの恵みの賜物です。行動を伴う信仰の民を、神は決して見捨てることはありません。

キリストの祈りは、「信仰を失わないように!」です。私たちの知恵や力、経済が最大の問題なのではありません。信仰です。私たちは全知全能の神を信じ、この神に連帯する強い信仰をもってさらに前進していきたいと思います。

アドベンチスト・ライフ
2019年11月号
教団総理 島田真澄