最近、気になる二つの未来予測データがあります。ひとつは、2040年までに日本の40%の宗教法人が消失するというデータです。もうひとつは、2050年には日本の人口が、9000万人に減少するというデータです。
20年後、日本のアドベンチスト教会はどうなっているのでしょうか。そして、学校を初めとする機関はどうなるのでしょうか。25年前までは、日本の人口増加、高度経済成長の波に乗って成長してきた教会、学校、機関は、その後明らかに継続困難な時代を経験し、今後はさらに存亡の危機の時代を迎えようとしているのです。
人々は、神の必要を感じないほどに世俗化し、それでも内には孤独と不安と失望感の闇を抱え込み、悩んでいます。教会は、彼らの心を揺さぶるような福音の言葉を語ることができず、若い世代を招き入れることができていません。学校も、少子化の問題を凌駕するようなアドベンチスト教育を提示できず、児童、生徒、学生の確保に苦しんでいます。機関も、次世代のリーダーの発掘と育成を大きな課題としています。
いまセブンスデー・アドベンチスト教会、そして三育教育機関、医療・福祉・食品・出版各機関のアイデンティティ(存在意義)に基づくミッション(使命観)、ビジョン(未来像)、それを達成しようとするパッション(情熱)が一層大切になってきています。この時代、神は私たちをどのように導こうとされているのでしょうか。
神は、決して私たちが困難な時代や文化の中に埋没することを望んではおられません。いつの時代にも、神の民には光を掲げる者としての使命が与えられているのです。教会は、成長し続けることができます。そこに忠実な神の民がいて、真実の礼拝が捧げられ、愛の交わりがある限り、神はその民を教会に集めて下さいます。神は、失望のエリヤに7000人の神の民の存在を宣言され、失望のパウロにも、この町には神の民が大勢いると宣言されたのです。この日本にも神の民が大勢いるのです。
教会も学校も機関も大きな未来像を持つべきです。特にリーダーたちに必要なのは、信仰による楽観主義。棚から落ちてくるボタ餅を待つだけで何もしないということではありません。逆境の中にあっても神の導きを信じ、神の力を信じ、大胆に挑戦し続ける態度です。その大きな信仰が求められています。
そして、何よりも情熱。ペンテコステで与えられた聖霊の注ぎは、弟子たちに救霊使命への情熱を与えました。否定的、消極的な思いを超える情熱です。困難も殉教をも恐れない情熱です。いま私たちの主であるキリストに従う明るく前向きで積極的なアドベンチストが求められています。
「わたしは今日も明日も、その次の日も自分の道を進まねばならない」(ルカによる福音書13章33節)。
教団総理 島田真澄 アドベンチスト・ライフ2017年11月号