安息日学校部

第11課 聴覚しょうがい者用 柴田 寛

2023年第4期「神の宣教、私の宣教

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第11課 伝えられていない人々への宣教(その2)  柴田 寛

 

1.安息日午後:今週のテーマ

今週は異教の地、ティルスとシドンに、イエス様が“野外学習”として弟子たちを連れ出された理由について学びます。

 

2.日曜日:他の地方での宣教

イエス様はある時、弟子たちをティルスとシドン地方に連れていかれました。これら異教の地に連れ出された目的は、ガリラヤでは簡単には学べないことを、現地で学ばせるためでした。ティルス(口語訳ではツロ)と、シドンは、ヨシュアの時代に、イスラエルが獲得すべき領域として指定されていたところでしたが失敗し、イスラエルはシドン人を追い出すどころか逆に婚姻によって混じりあい、偶像崇拝の影響まで受けてしまいました。そのような負の歴史がある異教の地へ弟子たちを向かわせたのは、弟子たちの中にある、異教の民への偏見と向き合わせるためでした。ガリラヤでは簡単に学べないこととは、初めから、シドン人を救いの対象外と決めつけている弟子たちの心の狭さであったと言えます。

 

3.月曜日:群衆を求めて

イエス様は、いろいろ乗り越えなければならない課題はあるにせよ、都市伝道をするように、私たちを召しておられます。そのためにはまず私たちの心が、群衆を深く憐れまれたイエス様と同じように、憐れみ深くなるように祈りなさいとマタイ9章38節で教えられました。

マタイ4章23節~25節には、イエス様による癒やしと救いを求めて、周辺のさまざまな地域から大勢の群衆が押し寄せてきたことが記されています。ところが、その地域のリストの中にティルスとシドンが含まれていません。今回、イエス様がティルスとシドンに弟子たちを連れ出されたのは、そのような理由もあってのことでした。福音が伝えられていない地域にこそ、救いを必要とする人々がたくさんいるはずだ・・・イエス様の目には、そのように映ったことでしょう。弟子たちが学習しなければならないもう一つの事実は、イエス様のその海よりも広い、憐れみ深い心でした。

 

4.火曜日:ティルスとシドンにおいて

マタイによる福音書はユダヤ人の読者を意識して書かれ、マルコによる福音書は異邦人の読者を意識して書かれています。両方ともそれぞれに、“悪霊に取り憑かれた娘の癒やしを願う、母親の物語”を収録していますが、これらの違いを意識して読む時、私たちの中にも無意識のうちに形作られている偏見と、それに基づく偏狭に目が向かいます。イエス様も、この女との対話の顛末に関心を持つすべての人達(私たちも含め)を意識し、その目を覚まさせるために、あえて両極の態度を示されました。女に対し、最初は当然ユダヤ人らがするであろう冷たい対応を示し、それでも食い下がらない信仰の女性に対して、今度は異邦人が求めているやさしい憐れみを示されたのです。これは、偏見や偏狭によって、神の憐れみや救いを限定的なものにしてしまう全ての時代の弟子たちに対する訓戒です。イエス様は、救いの恵みは特定の民族のものではなく、すべての人に行き渡るべきものであることを教えられたのです。

 

5.水曜日:「この女を追い払ってください」

救い主であるイエス様は、国籍や民族の違いを気になさいませんでした。私たちもそうあるべきです。使徒言行録10章9節からのところには、ペテロが見た異様な幻が記されています。それは、聖書で食べることが禁じられている汚れた動物を、料理して食べなさいという幻でした。ペテロは「主よ、とんでもないことです!」と言い返しますが、これは、「あなたが汚らわしいと思っているすべての人を受け入れなさい」という意味の幻でした。

神はすべての国民を愛しておられますが、私たちは、愛国心や誇り、高慢といった数々の偏見によって、「出ていって、すべての国民を弟子としなさい」という、キリストの大宣教命令に背いています。真のあかしびととならせていただくために、私たちを縛り付けている、これらの偏見から解放されるよう祈りましょう。

 

6.木曜日:地上の信仰

イエス様は言われました。「人の子が来るとき、果たして地上に信仰を見いだすだろうか」(ルカ18:8)。イエス様は探しておられます。求めておられます。それは、暗闇の中でも輝くような信仰を持っている人たちをです。聖書には、そのような輝く信仰を持つ人たちがたくさん登場します。異教徒の百人隊長、中風の友の癒やしを願う4人の男たち、盲人バルティマイ・・・。このように信仰は外国人、異なる宗教を持つ人々など、思いがけない所から見出されるのです。「あそこにはいないだろう、どうせ無理」と決めつけないで、根気強く、祈りをもって探し求めなければなりません。そして、そのような人々は、実際にそこにいるのです。

 

7.金曜日:さらなる研究

私たちが救いの対象外と決めつけてしまっている人たちの中に、救い主を心から求めている人たちがいるかもしれません。イエス様は、これらの魂のために死なれたのだということを、いつも覚えていましょう。「神は人間に、暗闇の中にいる人々に光を与えるための代理人になるように求めておられる。」というエレン・ホワイトの言葉に注目しましょう。あなただから行ける伝道地があるはずです。私たちの小さな献身を、神様は喜んで下さいます。

 

【話し合いのための質問】

水曜日のページの下部でとりあげられていた、ガラテヤの信徒への手紙2章11節~13節を読み、パウロが指摘したペテロの偽善について、私たちの中にも同じような偽善の心がないか、またそれをどうやったら解決できるかについて話し合ってみましょう。