彼女の模範は、私たちが新型コロナウイルス感染症に対して取るべき態度や行動を教える
メルカー・フェレイラ(中央アメリカ支部安息日学校部、信徒伝道部長)
1894年8月13日、エレン・ホワイトはスティーブン・ハスケルに手紙を書き、その中でインフルエンザ・ウイルスによって亡くなっていく人々への思いを次のように述べています。
「私たちはニュー・サウス・ウェールズ中のあらゆる場所で、インフルエンザの大流行によって苦しめられ、試されています。ほぼすべての町の家庭が感染されています。ある人たちはとても弱ってしまい、生死のふちをさまよっています。私たちは病人のために祈り、金銭的に可能なことをし、そしてあとは結果を待つしかありません。……先週は1日に11件も葬儀がありました。……私はひどく攻撃されており、4週間も集会に参加できていませんが、毎日ベッドから出ることは諦めていません。せきとくしゃみが止まらず、鼻から血も出ますが、ほぼ毎日ページを書き進めています。……まわりのほとんどが苦しんでいる中、私は回復しつつあり、また主にある勇気を与えられていることを神に感謝しています。私たちは主のみ名によって可能なことは何でもするつもりです。……私は失望してうめく必要はなく、苦しんでいる兄弟姉妹を訪ねて祈ることができます。……神の民は試されており、神は私に試練を通らせることで、彼らの役に立つようにしてくださることでしょう。……そして、そうすることで、今までよりもイエスに堅くしがみつくことができるのです」(『書簡』第30巻、1894年8月13日)。
この時点で彼女は既に66歳であり、高いリスクを抱えていました。神に対する信頼とその生活様式が、彼女を危機においても支え、勝利させたのでした。
彼女が大規模感染の中で学んだことは、今の私たちにも有益です。私はよく、「それでは今、何ができるのですか」という問いを耳にします。その答えは、私たちの態度を善良なものとし、前向きで創造的な行動を私たちにさせてくれるはずです。
私たちに何ができるのか?
私たちはさまざまな方法で彼女にならうことができます。
1 エレン・ホワイトは落胆することなく、主の約束にすがり、彼女の家族や仲間を助けるために戦い続けました。私たちも同様に、神の守りのみ力に信頼していることを示すべきです。私たちは、神のご臨在が勇気を与えてくれることを覚えるべきです(©️日本聖書協会 イザヤ書41章10節)。パウロは言います。「わたしたちは、四方から苦しめられても行き詰まらず、途方に暮れても失望せず、げられても見捨てられず、打ち倒されても滅ぼされない」(©️日本聖書協会 コリントの信徒への手紙二・4章8、9節)。状況が私たちを破滅させることはありません。やがて私たちには、さらに厳しい状況が訪れるでしょう。しかし、イエスは生きておられ、私たちの避けどころ、力であり、死の陰の谷を行くときも、災いを恐れるべきではありません。なぜなら、主のと杖が私たちを慰めるからです(詩編23編)。最終的な勝利は主のもとから来ます。主を信頼しましょう。
2 エレン・ホワイトは家でも働き続け、目標到達の時間を設定し、日課である執筆の手を一度も止めませんでした。私たちも都市封鎖の中で目標を失わずに、目標を達成する方法を探すべきです。なぜなら、イエスはこのような状況の中でも、「あなたがたに命じておいたことをすべて守るように教えなさい。わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」(©️日本聖書協会 マタイによる福音書28章20節)と言われたからです。
3 彼女はまた、正しい態度で行動し続けました。もし彼女がソーシャルメディアを利用できたならば、彼女は間違いなく教会と連絡をとり、使用可能な伝達経路を利用して教会員を励まし、希望を与えていたでしょう。彼女なら次のようなことをするでしょう。
- オンライン上の小グループ
- ソーシャルメディアを通した教会への特別なメッセージ
- 彼女のフェイスブックのフォロワーに対する毎朝の助言
- あらかじめ撮影したメッセージのソーシャルメディアを通した配信
想像力を少し働かせば、私たちにも何かができます。
4 エレン・ホワイトは、神のみ力に対する全的な信頼をもって祈りました。私たちも、神が聖なるみ言葉の中に備えてくださったすばらしい約束に信頼すべきです。パウロは囚人としてローマへ連れて行かれたとき、海上で恐ろしい嵐に遭遇しましたが、乗っていた船は暴風に耐えました。そのとき、彼は次の3つのことを言いました(©️日本聖書協会 使徒言行録27章23~25節)。
- 恐れるな
- 落胆せずに、元気を出しなさい
- 前向きな態度を保ちなさい。神が共におられるので、何も失うことはない
使徒によって示された信頼が、今を生きる私たちを支えてくださいますように。
5 私たちは、突飛な行動やデマを拡散すること、パニック状態を避けなければなりません。むしろ、私たちのことをさまざまな媒体によって見聞きする人々に対して希望を伝えるときに、前向きであらねばなりません。
家で行う祈りや聖書通読、交わり、証しの集会などが、より一層意味を持つようになるでしょう。外出制限が解かれてもなお、私たちはその経験を、イエスの再臨が近いことを友人や隣人に伝える宣教の機会として用いるべきです。
神はすべてを支配しておられます。私たちは神のみ声を聞けるように、いつも備えているべきです。神のみ言葉に敏感でいましょう。
*本稿は、『アドベンチスト・レビュー』2020年4月4日号に掲載された‘What Ellen White Did During a Pandemic―Her example could inform our reactions and actions in the times of COVID-19’の抄訳です。
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