新型コロナウイルス感染症の流行に際して精神衛生を保つ
不確かな状況の中を進むうえで心配がいかに役立つかについてのイエスの教え
カルロス・ファヤード(ロマリンダ大学医学部精神科準教授)
この世界的感染大流行(以下、パンデミック)は、死についての不安や社会的孤立、疑念、生活必需品の入手や私たちの雇用についての思い悩みなど、さまざまな精神的負担を引き起こしています。それらは体にも影響します。世間にはパンデミックに対処するための情報があふれていますが、イエスが(©️日本聖書協会) マタイによる福音書6章25~27節で言われたことを思い出しましょう。しかし、もしだれかに「思い悩むな」と言われても、私たちはそうすることに苦労するのではないでしょうか。そこで、イエスは5つの勧告を与えておられます。
1 自然の細部を観察する(©️日本聖書協会 マタイによる福音書6章26、28~30節)
自然をただ「一見する」のではなく、美の細部を観察することで、感情に良い作用を及ぼし、創造主に対する感謝を生み出す畏怖の念が生み出されます。もし外出できないならば、自然の写真を見ましょう。色彩を観察し、その感触や香りを心の中で想像しましょう。
2 神の思いやりに満ちた愛にとどまる(26節)
主に対して感謝できることを毎日見つけて日記に記し、それらを瞑想する時間を増やすと役に立ちます。
3 神の国の価値観に従って生活する(33節)
脅威の中でも他者を重んじ、だれかの役に立つ簡単なことを探しましょう(ショートメッセージ、メール、電話など)。
4 あなたの考えることすべてが正しいと信じない(27節)
イエスはあなたが何時間も心配して過ごすことをお望みになりません。人間の脳はすばらしい作品ですが、認知行動療法は、下記の思考を「認知のひずみ」と呼びました。
- 全か無かの思考:物事を極端な条件で見ること
- 行きすぎた一般化:1つの否定的な出来事をとりあげて、それが他のすべてにも当てはまると信じること
- 否定的な心のフィルター:悲観的なレンズを通して物事を見ること
グーグルで「認知のひずみ」と検索すれば、詳しいリストが見つかります。
あなたの心配事をリストにして、「認知のひずみ」と比べ、どれが該当するか、確かめるのが一番良い方法です。「真理はあなたたちを自由にする」(©️日本聖書協会 ヨハネによる福音書8章32節)ということを覚えて、ひずみを解消しましょう。
5 あなたが心配する時間に上限を設ける(34節)
イエスは、「思い悩むな」という勧告に従うことが必ずしも簡単ではないと知っておられました。それゆえ、その日の苦労をその日にとどめるよう、勧められました。専門家もこれに賛同します。たとえば、夕方5時から30分間を心配すべきことを心配するために使いましょう。途中で別のことに妨げられてはなりません。もし日中、何かの心配事に気づいたなら、心配するための30分がある、と自分に言い聞かせましょう。最後に、フィリピの信徒への手紙4章6、7節の勧めに従いましょう。
「どんなことでも、思いうのはやめなさい。何事につけ、感謝を込めて祈りと願いをささげ、求めているものを神に打ち明けなさい。そうすれば、あらゆる人知を超える神の平和が、あなたがたの心と考えとをキリスト・イエスによって守るでしょう」パウロが言っているのは、1つ残らず神に打ち明けなさいということです! そのときに、あなたがキリストのものであることを忘れないでください。キリストにあるなら、恐れもパンデミックも、神の愛から私たちを引き離すことはできないのです(©️日本聖書協会 ローマの信徒への手紙8章38、39節)。
*本稿は、『アドベンチスト・レビュー』2020年3月24日号に掲載された‘Keeping Your Mental Health During the Times of COVID-19―What Jesus said about worrying can help you navigate uncertain circumstances’の抄訳です。
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