セブンスデー・アドベンチスト教会

社会距離拡大戦略では、誰が私の隣人なのか?

社会距離拡大戦略では、誰が私の隣人なのか?

社会距離拡大戦略では、誰が私の隣人なのか?

「社会距離拡大戦略では、誰が私の隣人なのか?」

――自粛期間中に同じ概念が適用できるのか?

リサ・ビアズリー=ハーディ(セブンスデー・アドベンチスト世界総会教育部長)

社会距離拡大戦略(以下、ソーシャルディスタンス)、(注1)そして、地域全体や国全体の封鎖は、仕事場や学校における平凡な生活、私たちが自由時間に行うこと、礼拝の仕方、私たちが旅行する場所(あるいはしない場所!)、そして、地球規模での社会に多大な影響を及ぼしています。それは神聖な事柄の中にも入り込み始めています。教会堂での礼拝や、グループでの祈りは、無期限で延期され、神聖な場所への立ち入りは制限されています。これによって、個人の自由や、組織の管理体制に困難が生じています。国境は封鎖され、航空機は運航休止となり、船舶は入港できず、多くの人々の家からまだ何マイルも離れている場所で、鉄道は麻痺状態に陥っています。危機に際して、当然のように互いに団結することを切望する代わりに、他者によって感染することへの恐れが、私たちを離ればなれにしています。コロナウイルス感染症のパンデミックは、世界中で幾千人もの命を奪い、愛する者を悼む機会さえ奪っています。

警鐘

このパンデミックは、実存的、終末論的なレベルで、警鐘を鳴らしています。自然科学、金銭、科学技術、そして政府は、コロナウイルス感染症の予防に失敗しています。医薬品は、症状を和らげても、疾患を治すことはできません。私たちの時間を消化し、考えに没頭させてくれるような、学校、仕事、社会的な習慣、娯楽、買い物、そして、更に重大な、移動と交流の自由といったものが、影響を受けています。失業率の増加は圧倒的で、私たちの健康や生活そのものが危機にさらされています。何もかもが引き剥がされたとき、私たちは、誰が、そして何が本当に大切であるかを突きつけられます。

私たちは、学習や仕事のための新しい方法を探さなければなくなっています。私たちは、家族や地域の中にいる高齢者や、保護を必要とする者たちのために協力し、彼らを助ける方法を見つけなければなりません。私たちは、またもキリストに対して「わたしの隣人とはだれですか」(ルカによる福音書1029節 ©️日本聖書協会)と問うよう、迫られています。

善いサマリア人のたとえのなかで、最初の通行人は、死にかけた被害者に出くわしても、距離をとり、道の向こう側を通って去っていきました。2人目の通行人も、ソーシャルディスタンスをとりました。彼らは2人とも、従うべき儀礼を持っており、それは彼らの生活における地位と、社会に対する責任に即したものでした。ところが、思いがけないヒーローは、自分の安全を顧みず、同情の思いから行動しました。そして彼は、時間の限り、できる限りのことをしてから、助けを必要とするその男性を宿屋の主人に託し、戻って来たら差額を支払うと約束しました。(注2)

創造的に答えを探す

「わたしの隣人とはだれですか」という問いに対する答えは、無数に見つかります。すべての問題や課題は、創造的な伝道への招きです。すべての必要は、それに応えるための機会です。若いエネルギーにあふれ、神の霊によって、創造的に生まれ変わったデジタル世代の若者は、ソーシャルディスタンスのときにも、隣人を愛するための新鮮な方法を見出すことでしょう。誰もが何かをすることができます。神は、1軒先で、もしくはワン・クリックで会うことができる隣人たちを、私たちに託されました。神は、この任務のために、私たちにタラント、創造性、そして神の霊という資源を授けておられます。では、私たちにはどのような創造性があるのでしょうか! 高齢者や、貧しい人々が都市封鎖で困らないように、食料を届ける、あるいは寄付することが出来ます。(注3) 信仰を支え、(注4) 孤立した祖父母を励まし、(注5) あるいは子どもたちの助けになるような動画を作成し、(注6) 人種差別に反対して声を上げ、オンラインの礼拝や祈祷会を企画し、カラフルなマスクを縫うなど、それには数限りがありません。創造性は、制約の中でこそ、最も開花するのです。私たちが神のご命令を実行するなら、どんな努力も無に帰することはありません。そして、再臨のときには、未払いの差額を清算するために、キリストご自身が創造的な方法を見つけてくださると確信できるのです。キリストは誰が思っているよりも早く戻って来られます。

リサ・ビアズリー=ハーディは、米国メリーランド州シルバースプリングにあるセブンスデー・アドベンチスト世界総会教育部長。

(注1)インフルエンザなどの感染症対策において、人と人との距離を開け、接触機会を減らすこと。(国立感染症研究所、2009年)

(注2) Raul Lozano, “The Innkeeper, My Teacher,” presented at the Regional Summit on Adventist Education for NSD, SPD, SSD, and SUD, Bangkok, Thailand, January 29, 2018.(英文)

(注3) “AIIAS Chinese Community in Action,” https://www.youtube.com/watch?v=P02gEn1mngo

(注4) “Dear Coronavirus,” https://vimeo.com/399225392

(注5) “Dear Grandparents,” https://www.youtube.com/watch?v=G9P2Cbu6LeQ.

(注6) Jessica Moon, “Talking to Christian Children About the Coronavirus,” https://youtu.be/U6ZKoFaH9mo

*本稿は、『Adventist Review』に2020420日に掲載された‘Who Is My Neighbor in a Time of Social Distancing?――Do the same concepts apply in quarantine’の抄訳です。