第7課 獅子の洞窟から天使の洞窟へ 2月15日
暗唱聖句 大臣や総督は、政務に関してダニエルを陥れようと口実を探した。しかし、ダニエルは政務に忠実で、何の汚点も怠慢もなく、彼らは訴え出る口実を見つけることができなかった。 ダニエル6:5
今週の聖句 ダニエル6章、サムエル記上18:6~9、マタイ6:6、使徒言行録5:27~32、
マルコ6:14~29、ヘブライ11:33~38
今週の研究 ダニエルがメディア人やペルシア人の下での世俗的職務に対してのみならず、(最も重要なことに、)神に対しても忠実であるのを目にすることができます。そして私たちは、神に対する彼の忠実さがほかの領域における彼の忠実さにも直接大きな影響を及ぼしていたと確信できるのです。
ダニエルの迫害の体験は、終末時代の神の民にとって模範になります。この物語は、神の民が試練や苦しみを免れるとは示唆していません。この物語が請け合っているのは、悪との戦いにおいて善が最終的に勝つこと、そして神が最終的に御自分の民の正当性を保証しているのです。
日曜日:ダニエルの行政能力は王に感銘を与えましたが、ほかの役人たちの嫉妬を引き起こしました。それゆえ、彼らはダニエルを汚職で訴えて辞めさせようとたくらんだのです。しかし彼らがどれほど調べても、ダニエルの政務には落ち度が見当たりませんでした。「大臣や総督は、政務に関してダニエルを陥れようと口実を探した。しかし、ダニエルは政務に忠実で、何の汚点も怠慢もなく、彼らは訴え出る口実を見つけることができなかった」(ダニ6:5〔口語訳6:4〕)。「忠実」と訳されているアラム語の原語は、「信頼できる」と訳すこともできます。ダニエルは清廉潔白だったので、役人たちが偽りの告発をできる余地はありませんでした。しかし彼らは、ダニエルが神に対していかに忠実であり、神の律法をいかに忠実に守っているかということにも気づいたのです。それゆえ彼らは、ダニエルを陥れるには、彼が神の律法か帝国の法律か、いずれかに従うべきジレンマに直面する状況を作り出せばよいのだ、とすぐにわかりました。役人たちは、ダニエルについて学んだことから、条件が整っていれば彼は帝国の法律よりも神の律法を支持する、と完全に確信したのです。ダニエルの忠実さのなんというあかしでしょう!
火曜日:それゆえ、彼は礼拝の習慣を変えることなく、エルサレムに向かって日に三度祈るという慣行を続けたのです。王以外、いかなる人間にも神にも願い事をしてはならないという禁令にもかかわらず、ダニエルはその危険な30日の間も、自分の祈りの生活を隠したり、ごまかしたりする策を講じませんでした。彼は多くの総督や役人の中で、このままだと王の勅令と衝突する唯一の人間であったため、絶対的少数派です。しかし彼は、隠し立てをしないその祈りの生活を通して、神に忠誠を尽くすことのほうが、王や取り消し不能の勅令に対する忠誠よりも重要であることを行動で示したのです。
水曜日:聖書は、ダニエルが獅子たちの中で何をしたのか記していませんが、彼はたぶん祈っていたのでしょう。そして神は、御使いを遣わしてダニエルを守ることで彼の信仰を称賛なさいました。翌朝、ダニエルは無事に生き残り政府での活動を再開できる状態でした。この出来事について、エレン・G・ホワイトは次のように述べています。「神はダニエルの敵が、彼をししの穴に投げ入れることを阻止されなかった。神は悪天使と悪人たちが、ここで彼らの目的を達するのをお許しになった。しかしそれは、神のしもべの救出をさらに著しいものにし、真理と義の敵の敗北を、さらに完璧なものにするためであった」(『希望への光』589ページ、『国と指導者』下巻153ページ)。
木曜日:この物語の一つの重要な点は、ダレイオスが神をほめたたえ、神の主権を認めている事実です。これが、ここまでの章(ダニ2:20~23、3:28、29、3:31~33〔口語訳4:1~3〕、4:31~34〔口語訳4:34~37〕)において神にささげられた称賛や主権承認の頂点、山場なのです。ネブカドネツァルと同様、ダレイオスはダニエルの救出に対して神を称賛することで応じています。しかし、彼はそれ以上のこともしました。彼は先の勅令を覆させ、「すべての民はダニエルの神を恐れかしこまなければならない」(ダニ6:27〔口語訳6:26〕)と命じたのです。確かに、ダニエルは奇跡的に救い出され、彼の忠実さは報われ、悪は罰せられ、神の誠実さと力は証明されました。しかし、私たちがここで目にするのは、これから宇宙規模で起こるであろうこと―神の民が救出され、悪が罰せられ、全宇宙の前で主の正当性が証明されること―の小さな一例なのです。
今週は、ダニエル6章について学びます。ダニエルは捕虜としてバビロンにやってきて、そこで国の行政の中枢で働きました。そして晩年になりバビロンが滅びた時に、彼は新しい国においても総督として働きます。老齢な彼が、このような働きを続けることができたのは、有能な行政者であったからでしょう。
ダニエルは彼を陥れようとする法律が署名された時に、今までと同様に神さまに祈りをささげました。もし同じようなことがあったら、あなたはどうしますか? 今週の研究にも書かれていますが、終わりの時代に同じようなことが起こるかもしれません。どのようなかたちになるかはわかりませんが、何を信じているのかによっていのちの危険があるような事態となるでしょう。けれども自らの立場をはっきりさせることによって、信仰をあかしすることができるだけでなく、神さまとの関係も深まるのではないでしょうか。
今期の研究では、ダニエルたちの物語の背景について、とてもくわしく説明しています。今週の学びでは、なぜペルシャの王は獅子の穴を持っているか、またダニエルが獅子の穴から出された後、首謀者たちだけでなく家族までもが処罰の対象になったことに対しての聖書の考えなども書かれています。ぜひ本文もお読みになってください。