PDFダウンロード ルビ付きはこちらからご覧ください
第11課 後の書巻に見る申命記 平本 光
1.安息日午後:今週のテーマ
モーセの5つの書物は、後の旧約聖書の書巻に計り知れない効果を与え、永続的な影響を及ぼしました。モーセの5つの書物は最高の権威ある所と考えられており、すべての他の聖書の箇所は、モーセの教えに照らし合わせて評価されていました(副読本77頁)。今週、私たちは、モーセの5つの書物の中の申命記のどの部分が後の旧約聖書に引用されているかを学び、さらにそれらの引用が今日の私たちに対してどのような意味を持っているかを学びます。
2.日曜日:律法の書
列王記下22章は、ヨシヤ王が8歳で王となってユダ王国を神様に従う国になるように働きかける時代です。この時代に長く失われていた「律法の書」が見つかります。聖書を研究する学者たちはこの「律法の書」が申命記であると考えていました。ヨシヤ王はこの「律法の書」が長年にわたって失われ、周辺の国が信じていた偶像礼拝などを行い神様から遠く離れてしまっていたので、この「律法の書」申命記をユダ王国の全ての人に読んで説明して、神様に従うように改革しました。時代が変わっても神に従う正しい生き方を申命記は教えてくれることを示しています。
3.月曜日:天の天
多くの人によって調査されてきた宇宙もそのすべてが私たちにはわかりません。私たちは天を見上げ、空の雲や太陽、月や星を見ることができます。しかし、そのさらに先にある目で見ることができない宇宙の先までイエスは創造されました。モーセは天と「天の天」、地とその地にあるすべてのものを創造されたと表現することで、イエス・キリストの威厳や力、その偉大さを伝えようとしました。イエス・キリストがイスラエルの人々を一方的に選ばれた民とされたのは、彼らが素晴らしい人材だったからではありません。だからイスラエルの人々も選ばれたことを喜びその応答として律法に従って生きることで他の人々に神の愛を伝える使命が与えられていました。同じように私たちもイエス・キリストによって救われたことに対する応答として、安息日を守って礼拝を行うことが求められているのではないでしょうか。
4.火曜日:エレミヤ書に見る申命記
申命記にある教えはエレミヤ書にも影響を与えていました。エレミヤの時代にイスラエルの人々は自分たちが神に選ばれているから神を愛していなくても大丈夫だと勘違いしていました。エレミヤはイスラエルの人々に警告として、主なる神を礼拝している民は主の声に聞き従って、行動を改め、神を愛さなくても国は大丈夫という偽りの言葉に信頼せず、神に喜ばれる正しい行動をして他者を傷つけず、偶像を礼拝しないように生きることが大切だと教えています。神は一方的に愛し、罪を赦してくださいますが、その愛を受けていると信じるならば、心を尽くして神に従い、神の愛に応えて神を愛することが現代の私たちにも必要な生き方だと教えています。
5.水曜日:主がお求めになることは何か
ミカ書で強調されている、主が求めておられることは神との契約に忠実であることだと教えられています。忠実ではなかったことに対して神の言われていることを確認してみてください。神はイスラエルの民に対してイジワルだったでしょうか。エジプトの奴隷生活から助けたことは良くなかったのでしょうか。苦難があるのは主なる神の正しい働きを知るためのものであって、あなたを愛して守ってくださる神と共に謙遜に歩むことです。イスラエルの人々だけでなく私たちも自分自身が神に愛されているのであるから、目の前の人々を正義とあわれみをもって関わっていくように教えられています。ですから、時代や目の前の相手に合わせて、目の前の相手にとって何が必要なことであるかと置き換えて考える必要があります。
6.木曜日:ダニエルの祈り
ダニエルは自分たちの国が他の国に奪われていった理由を申命記から見出します。申命記が記していたように、彼らはモーセが注意していたことに従わなかったために、約束の地から追われることになったのです。ダニエルはこの理由を見つけたときに自分たちの国が他の国に奪われていった結果に納得し、また神がその先に持っておられる回復の計画を理解するのです。神は彼らを見捨てられたのではなく、また神に従うときに愛を持って回復させられることを知っていたのです。私たちや私たちの大切な家族や友人の生活が神から離れているならば、反省して神のもとに帰ってくるときに回復があるという希望を持つように勧められています。
7.金曜日:さらなる研究
モーセの時代以降、すべての預言者が、その生涯と教えがモーセが設けた標準と調和しているかどうか判断するために、モーセと比較されてきました。しかし預言者の預言者であるイエス・キリストこそモーセを超える唯一の預言者であり、モーセが主イエス・キリストの型であると言うのは、忠実に神の言葉を伝え、罪人のために執り成し、幾多の困難を経て、神の民を約束の地に導いたからです。キリストは私たちの希望です。神のまことの代弁者、まことの預言者、イスラエルのかしこい大教師です。こういうわけで、私たちは、日々の生活をイエスに明け渡し、イエスの弟子になる選びをしていくことが大切です。(副読本83頁)