セブンスデー・アドベンチスト教会

コロナウイルス世界的大流行

コロナウイルス世界的大流行

コロナウイルス世界的大流行

――これが終わりなのか

ゲイリー・ギブス(ペンシルバニア教区長)

2020年初頭、コロナウイルスの世界的大流行(以下、パンデミック)は私たちの世界を嵐に巻き込みました。わずか数か月のうちに数百万人が感染し、数十万人が死亡しました。国は国境を閉鎖し、企業を休業させ、人々には在宅を命じました。慌ただしかった都市がもぬけの殻となり、景気の好調さは消えてなくなりました。
もしだれかが大衆を支配するための終末的な出来事を計画したとしたら、おそらくそれはコロナウイルスのパンデミックによく似たものとなることでしょう。何の抵抗もなく、世界人口の3分の1以上があっという間に都市封鎖のもとに置かれました。1人々はプライバシーや教会への出席、売り買いをすることに対する公民権を放棄しました。
多くの人は、これが預言された終わりに向かって私たちを導いているのではないかと戸惑っています。検索サイトでは、「世界の終わり」「終末時代のしるし」「終末」という検索ワードが急上昇しています。2セブンスデー・アドベンチストは、エレン・ホワイトの書いた「間もなく、私たちの世界に大いなる変化が起こり、最後の運動は急速なものとなろう」3という言葉が、このことを予見していたのではないかと感じています。

早送りさせる出来事
有力紙『フィナンシャル・タイムズ誌』に掲載されたある記事は、このパンデミックのような緊急事態が、社会をどのように変えるかを明らかにしています。「短期的な緊急対策の多くが日常生活の一部になるだろう。それが緊急事態の性質なのだ。それは歴史的なプロセスを早送りさせる。平時であれば何年もの審議期間を要するであろう決定が、ほんの数時間のうちに可決されてしまう。何もしないことのリスクの方が大きいために、未熟で危険な科学技術でさえも実用化へと追い込まれてしまうのだ」4
「歴史的なプロセスを早送りさせる」という概念は、聖書の預言がどのように成就し得るかを明らかにします。自由を愛する社会は、「短期的な緊急事態」と「科学技術」の導入によって、恐ろしい時代へと段階的に移行します。それはヨハネの黙示録13章で予見された時代です。その時代には、獣を拝まなければ、だれも売買できなくなります。この獣とは、ヨハネの黙示録13章1~8節に記されている、神を冒涜し、神の権威を奪おうとする政治的・宗教的権力です。
例えば、2001年9月11日は、早送りの出来事でした。その余波の中で、前例のない法律が制定され、監視網を作るための科学技術が導入されました。米国では、7000万台の監視カメラ5と上空を旋回する偵察機が多くの人々を追跡しています。6 9.11をはじめとするテロ攻撃後のプライバシーの喪失は、当初こそ議論されたものの、最終的には社会が新たな日常に落ち着き、早送りのプロセスはしばらく停止しました。
このような預言的な一時停止は何十年も続くことがあります。ある時には、変化が次々と起こり、ヨハネの黙示録13章へと私たちを駆り立てます。今、私たちが一時停止中であろうと、スロー再生中であろうと、早送り中であろうと、このパンデミックは、あることを顕著に示しています。それは、獣の印(偽の神の印、安息日礼拝)の2大前提条件が今や整っている、ということです。

行動の監視
政府は、コロナウイルスがどのように広がるかを理解するという目的のもと、全住民の動きを監視するためにスマートフォンからのデータを利用しました。7パンデミックはさておき、だれかが私たちのあらゆる動きを記録しているという事実は、預言的な意味合いを持ちます。なぜなら、そのデータは、個人が「獣を拝む」(ヨハネの黙示録13章12~15節 ©️日本聖書協会)法律に従っているかどうかを判別するために、いつの日か利用され得るからです。
ステイホーム法の遵守状況を追跡するために、政府とビッグデータは一体化しました。パンデミックの最盛期には、米国人口の90%以上が、生活維持に必要な場合を除き、どこにも外出しないように命じられていました。8これに従わない場合、「民事または刑事罰」が科せられる可能性があります。9西オーストラリア州の違反者には5万豪ドル(3万2千米ドル)の罰金が科せられました。10
このパンデミックは、行政当局が人々の移動、売買、教会における神への礼拝を合法的に阻止する能力と意志を持っていることを示しています。11黙示録13章で予見された法律を施行するために、科学技術が大いに活用されていることは明らかです。

キャッシュレス社会
獣の印を押すために、政府は売買についても規制できなければなりません。この点について、パンデミックは何を明らかにしているのでしょうか?
『ブルームバーグ・タックス』の最近の記事「パンデミック時代にキャッシュレス化が付加価値を生む理由」は、「私たちにはまだ現金が必要か」12という質問から始まっています。著者のジェシー・イェン氏は、パンデミックをデジタル通貨にとっての好機と捉え、中国の中央銀行が汚染された通貨を除去したことに注目しています。13彼女は、このパンデミックが早送りのきっかけになると示唆しています。「国際決済銀行によると、伝染の恐怖は、デジタル決済への一般的な傾向を一層加速させる可能性がある」14
キャッシュレス社会は今に始まった提案ではありません。私は、ロナルド・レーガン元アメリカ大統領が麻薬カルテルを撲滅しようと格闘していたことを思い出します。当時、私が購読していた金融情報誌には、レーガン内閣のある人物が、「社会から現金をなくせば違法取引を止められる」と提案したという記事が掲載されていました。それに対し、別のだれかが「獣の印のようなものか?」とジョークを飛ばしました。部屋は一瞬沈黙に包まれましたが、大統領はそれを無視して次の話題に進みました。
今日、キャッシュレス取引は恐ろしい提案どころか快適な現実へと成長しています。世界で最もキャッシュレス社会化が進んだスウェーデンでは、購入の80%が電子マネーで行われています。15アフリカの多くの国では電子通貨が利用されており、ケニアの成人の75%以上がモバイル決済サービスを利用しています。16世界第2位の人口を持つインドは、最近、最も普及している紙幣を流通から除外することで現金の排除を推し進めました。中国の中央銀行は今年初め、デジタル通貨をテストする準備ができたと発表しました。17
キャッシュレス化は可能である一方、なぜ当局者たちはそれを望むのでしょうか。それには具体的な理由が多く存在します。「政府にとっては、現金をなくせば、造幣や流通の経費が削減され、脱税や麻薬密売を取り締まるのが容易になる。店舗は現金処理コストを節約し、盗難を減らし、さらに多くの収入を得ることができるかもしれない」18
現金を排除することは、ビジネス上の懸念事項に対する具体的な解決策かもしれませんが、それは黙示録13章で予見されている弾圧へと容易につながるでしょう。『ブルームバーグ・タックス』は、まさにその危険性を警告しています。「評論家たちは、デジタルのみの経済によって、政府や銀行があなたの経済生活を支配し、スイッチを押すだけで無一文になる可能性があると言っている」。19世界中で急速に拡大しているデジタル経済は、売買が容易に統制される時代に私たちをぐっと近づけています。

終わりが到来したのか
このパンデミックが早送りさせる出来事である可能性が高い一方、それが差し迫った終わりを予言しているわけではありません。どうか覚えておいてください。獣の印の預言の第三の要素は、強制的な礼拝に関するものです。これは現在のパンデミックに含まれていません。
このパンデミックが私たちに教えてくれることは、多くの人々を支配するための科学技術が既にあるということです。人々が進んで強制的な礼拝を受け入れる状況に到達するまでにどれだけの時間がかかるかは、別の問題です。政府が印を押すための技術を持つことと、宗教的な法律を制定する準備ができていることとは大きく異なります。私の推測では、早送りさせるほかの出来事が、将来のある日、きっかけとして機能することになるでしょう。そして、コロナウイルスで見てきたように、物事は非常に速く進むことがあります。だからこそ、常に神を信頼することが重要なのです。
ヨハネの黙示録14章の第一天使は、私たちに「天と地、海と水の源を創造した方を礼拝しなさい」と呼びかけています(ヨハネの黙示録14章7節)。創造主である神を礼拝することは、私たちに「万物の造り主」が「あなたの贖い主(であり)/あなたを母の胎内に形づくられた」(イザヤ書44章24節 ©️日本聖書協会)ことを思い起こさせ、平安をもたらします。私たちには、「わたしがあなたを忘れることは決してない。見よ、わたしはあなたを/わたしの手のひらに刻みつける」(イザヤ書49章15、16節 ©️日本聖書協会)という神の力強い約束が聞こえます。
神は、私たちがだれであり、どこにおり、何を経験しているかを正確に知っておられます。私たちに対する主の愛はあまりにも強いので、主のみ手には十字架で釘打たれた傷跡が残り続けています。それゆえ、不確かな未来が私たちに影を投げかけていたとしても、私たちは自分の名前が刻まれている神のみ手に向かって手を伸ばすことができ、また神が私たちを離すことはないと知ることができます。神は、この嵐を無事に乗り越えさせてくださるでしょう。なぜなら、神はこう約束しておられるからです。「恐れるな、わたしはあなたを贖う。あなたはわたしのもの。わたしはあなたの名を呼ぶ。水の中を通るときも、わたしはあなたと共にいる」(イザヤ書43章1、2節 ©️日本聖書協会)。

1. Katharina Buchholz, “What Share of the World Population Is Already on COVID-19 Lockdown?” Statista, Apr. 23, 2020, https://www.statista.com/chart/21240/enforced-covid-19-lockdowns-bypeople-affected-per-country/.
2. Stephen Smith, “What Answers Are People Looking for From the Bible in an Age of Coronavirus?” Bible Gateway, Mar. 13, 2020, https://www.biblegateway.com/blog/2020/03/what-answers-are-people-looking-for-from-the-bible-in-an-age-of-coronavirus/.
3. 『伝道』上巻37ページ。
4. Yuval Noah Harari, “Yuval Noah Harari: The World After Coronavirus,” Financial Times, Mar. 20, 2020, https://www.ft.com/content/19d90308-6858-11ea-a3c9-1fe6fedcca75.
5. Irina Ivanova, “Video Surveillance in the U.S. Described as on Par With China,” CBS News, Dec. 10, 2019, https://www.cbsnews.com/news/the-u-s-uses-surveillance-cameras-just-as-much-as-china/.
6. Monte Reel, “Secret Cameras Record Baltimore’s Every Move From Above,” Bloomberg Businessweek, Aug. 23, 2016, https://www.bloomberg.com/features/2016-baltimore-secret-surveillance/
7.例として、以下のオンラインレポートを参照してください。: https://www.newsweek.com/google-tracking-peoples-movements-their-communities-during-coronavirus-pandemic-1495915, https://www.dailymail.co.uk/news/article-8222805/Map-shows-peoples-movements-dropped-87-parts-lockdown.html, https://www.cnet.com/news/apple-using-maps-data-to-show-if-people-are-social-distancing-during-coronavirus-outbreak/, https://www.gislounge.com/using-location-data-to-map-peoples-movements-social-distancing-efforts-and-the-spread-of-covid-19/, https://fortune.com/2020/04/03/ google-maps-data-mobility-reports-coronavirus-pandemic/.
8. Buchholz.
9. Betsy Pearl, Lee Hunter, Kenny Lo, and Ed Chung, “The Enforcement of COVID-19 Stay-at-Home Orders,” Center for American Progress, Apr. 2, 2020, https://www.americanprogress.org/issues/criminal-justice/news/2020/04/02/482558/enforcement-covid-19-stay-home-orders/.
10. “Coronavirus: How Are Lockdowns and Other Measures Being Enforced?” BBC News, Mar. 17, 2020, https://www.bbc.com/news/world-51911340.
11. Kelsey Dallas, “Yes, the Government Can Force Churches to Close. Here’s Why,” Deseret News, Mar. 21, 2020, https://www.deseret.com/indepth/2020/3/21/21185541/coronavirus-utah-covid-19-churches-religious-freedom-synagogues-mosques-police-law.
12. “Why Going Cashless Has Added Value in Pandemic Age: Quick-Take,” Bloomberg Tax, Apr. 15, 2020, https://news.bloombergtax.com/daily-tax-report/why-going-cashless-has-added-value-in-pandemic-age-quicktake.
13. Jessie Yeung, “China Is Disinfecting and Destroying Cash to Contain the Coronavirus,” CNN, Feb. 17, 2020, https://www.cnn.com/2020/02/17/asia/china-is-disinfecting-cash-coronavirus-intl-hnk-scli/index.html.
14. “Why Going Cashless Has Added Value in Pandemic Age.”
15. “Sweden—The First Cashless Society?” Sept. 11, 2019, https://sweden.se/business/cashless-society/.
16. Scott Horsley, “China to Test Digital Currency. Could It End Up Challenging the Dollar Globally?” NPR, Jan. 13, 2020, https://www.npr.org/2020/01/13/795988512/china-to-test-digital-currency-could-it-end-up-challenging-the-dollar-globally.
17. 同上。
18. “Why Going Cashless Has Added Value in Pandemic Age.”
19. 同上

*本稿は、『アドベンチスト・ワールド』2020年8月号に掲載された‘Coronavirus Pandemic――Is this the end?’の抄訳です。